防災について子供から大人まで楽しく学べるカードゲーム。
実は、宮崎県内の高校生が作ったものなんです。

「カードゲームでも守れる命がある」
製作した高校生の思いとは…。

「お腹をすかせた子供」や「浸水したビルに取り残された人」…。
災害時に想定される状況などをイラスト付きで描いたカードの数々。
これは、門川高校の生徒が製作した防災カードゲーム「私が来たからもう大丈夫！」です。
探究の授業の一環で地域防災について学ぶ生徒6人が、顧問の四倉武士教諭とおよそ2カ月間かけて完成させました。

（門川高校　四倉武士教諭）
「実際に災害現場では何ができるのか、ゲームを通して考える」

ゲームで使用するのは、災害時に起こりうる問題を描いたカード20枚と、その問題を解決するためのアイテムカード53枚。
どのようにゲームを進めるのか、生徒たちに見せてもらいました。

まず、一人5枚ずつアイテムカードを配ります。
そして…。

「何かにイライラしている子供。工具で修理ができそう」
問題カードに書かれたお題について、手持ちのアイテムカードで解決していきます。

「とんかち」
「いいね！解決！」

悩んだときは…。

「避難中にケガした子供」
「避難中？」
「ハンカチとか持ってない？」
「持ってない…」
「あ！絆創膏ある！」
みんなで話し合いながら解決していきます。

「熱でうなされている人」
「水と薬」
「解決！」

一つのお題に対して、アイテムカードは何枚使ってもＯＫ。
勝ち・負けなどはなく、災害が起こった時の状況をイメージしながらみんなで問題を解決していくゲームです。

（生徒は）
「自分が持っている（アイテム）カードで解決できない時には、みんなと協力しないといけないと思います」

「アイテムを手に取って考えられるので、黒板で教えてもらうよりも覚えやすい」

このカードゲームを作ったきっかけは…。

（門川高校　清田果夢さん）
「小学校に行って、一緒に防災の勉強をしていた時に、共助が足りないと気づきました。「自分が逃げればいい」みたいな…。（小学生に）話を聞いていて、そういう回答が多いと思いました」

地域住民が助け合って災害から命を守る「共助」の輪を広げたいという思いから子供たちが防災について楽しく学べるカードゲームが生まれました。

ゲームが終わったあと、生徒たちが取り出したのは門川町の津波浸水想定区域が書かれた地図。

「コンビニはここ」
「車いすは学校？」

ゲームの中で使ったアイテムを津波に巻き込まれないように入手するにはどうすればよいか考えていました。

（門川高校　四倉武士教諭）
「遊んで楽しいカードゲームではなくて、ゲームで遊んだあとに、本格的な図上訓練をしたり、あそここうしたほうが良かったよねなど、反省ができるようにしました。実際の災害時にも、ただ見ているだけ、自分には関係ないではなくて、自分には何ができるかなということを考えられるようになってほしい」

「私が来たからもう大丈夫！」

このゲームの名前には、一人ではなくみんなで助け合おう。
そして、防災をしっかり学んだ私たちがいるから大丈夫。
生徒たちの強い思いが込められていました。

門川町は、南海トラフ地震などが発生した際、中心部のほとんどが津波で浸水することが想定されています。
そうした地域で勉強に励む高校生たちが災害時にはみんなで助け合って一人でも多くの命を守ろうという思いで、この防災カードゲームを製作しました。

門川高校では、この防災カードゲームを全国に広めようと、今月末までクラウドファンディングを行って、寄付を募っています。