飫肥の街並みを次の100年につなぐ 築100年の洋館を飫肥の観光拠点へ
宮崎県日南市飫肥にある歴史を感じさせる築100年の洋館。
この洋館を人が集う観光拠点施設にリノベーションするプロジェクトが始まっています。
飫肥の街並みを次の100年へとつなげます。
(PAAKDESIGN 鬼束準三社長)
「次のバトンタッチの相手にちゃんと残せるようにしていきたい。風景を維持していくことを実現したいというところですかね」
こう話すのは、日南市飫肥で内装設計を手がけるPAAKDESIGNの鬼束準三社長です。古民家のリノベーションに携わっているほか、飫肥で2つの宿泊施設を運営しています。
宮崎県内有数の観光名所、九州の小京都と称される日南市飫肥。
統計が残る2009年以降、年間の観光客数は2015年の約22万8000人がピーク。
コロナ禍で大きく観光客が減りその後はにぎわいを取り戻せないままで、おととしの年間観光客数は約9万7000人、ピーク時の約4割にまで減りました。
飫肥では高齢で店をたたむ人が増え、商店会の加盟店も減っています。
飫肥に滞在することで、その魅力を感じてもらおうとこのプロジェクトが進んでいます。
(PAAKDESIGN 鬼束準三社長)
「飫肥の大きな課題の一つで、日帰り観光客が多いという課題があって、まず宿泊施設をつくることで長時間滞在してもらえる状況が生まれますし、滞在が生まれたら飲食が生まれますので、自ずと消費が促される状況につながる」
旧梅村邸。
約600坪の敷地に建つ築100年のこの洋館は、10年ほど前に空き家に…。
鬼束社長は、旧梅村邸を宿泊・飲食・物販・文化交流の4つの機能をもたせた施設に生まれ変わらせようと、去年12月に工事に着手しました。
(PAAKDESIGN 鬼束準三社長)
「(旧梅村邸は)和と洋の折衷の建物なんですよ。だからその折衷の仕方がすごく独特で、もしかしたら飫肥らしい独特さがあったりとか、随所にもう本当に今作ることができない装飾とか、そういったものも見えますし、そういったところに魅力をまず感じたところで、残したいと思いました」
和と洋、それぞれの魅力を併せ持つ旧梅村邸で販売するパンに、鬼束社長はこんな意味を持たせようとしています。
(PAAKDESIGN 鬼束準三社長)
「今食べているパンって、元々ヨーロッパから入ってきた文化じゃないですか。何となく日本人の口に合わせるために、ちょっとずつ味とか形とか、どんどん日本ナイズしていったと思うんですよね。またこの建物もそうじゃないすか、パン屋さんをやることは違和感なく必然性があるかなと思いますね」
(瀬良アナ)
「今は畳がありますが、ここのフロアどういったところになる予定?」
(PAAKDESIGN 鬼束準三社長)
「1階はイートインを併設したパン屋さんになります。奥側のふすまの向こう側に焼かれたパンが置かれる棚を置いて、向こうがちょっとしたドリンクとか出せるような形で、カフェの厨房になる予定ですね」
(瀬良アナ)
「なんだかもうパンの香りがしてくるような感じがします」
(PAAKDESIGN 鬼束準三社長)
「2階が宿になるので、パンが香る宿としてちょっと特徴づけて売っていきたいなと思っています」
築100年、大正末期から飫肥を見続けてきた建物が、人が集う新たな観光拠点へと生まれ変わり城下町の魅力を守る。
思い描くのは、次の100年にタスキをつなぐまちづくりです。
(PAAKDESIGN 鬼束準三社長)
「飫肥の最大の魅力は、この町並みが良い状態で保存されて守られているところで、それは1年、2年でつくれるものではなく、100年近くちょっとずつちょっとずつ、町の人たちが残してきた結果が今で、それを維持していくことがこの町の存続にもすごく重要な部分かなと思います」