半世紀以上営業 上山市の共同浴場が閉館へ 「残したいのはやまやまだが…」利用客の減少、施設の老朽化にあらがえず…
半世紀以上にわたり地元住民に親しまれてきた上山市の共同浴場が,、2月いっぱいで閉館することを決断しました。背景にあるのは、利用客の減少、施設の老朽化といった現実でした。
上山市中心部にある、共同浴場「鶴の湯」。長年地元の人たちに愛されてきた施設です。
施設を管理しているのは地区会長も務めている、浦山文一さん(78)です。浦山さんは2019年6月に前任から引き継ぎ、一手に管理を担っています。
鶴の湯・浦山文一さん
「この浴場を重宝してくれたのが、地元上・下新丁地区の方々」
こちらの施設、入浴だけであれば150円、シャワーを利用する場合でもプラス100円という安さです。ナトリウムやカルシウムなどを含む泉質で、効能は神経痛や疲労回復など。住民の憩いの場として、親しまれてきました。
地元住民
「やっぱり温まり方が違う。入って上がった後、なかなか冷めない」
「ここに入るとなんとなくゆっくりする」
最近は、施設の閉館を聞きつけた県外客の利用も増え、源泉をそのまま活用している珍しい浴場としても評判だといいます。
「お釣りいらないです」「駄目駄目!それはなし!」
仙台から
「塩素を使わずかけ流しの温泉は珍しい。貴重だと思って来た」
一方、高齢化による利用客の減少で、今は、営業をすればするほど赤字がかさむ事態となっています。
鶴の湯・浦山文一さん
「80人でとんとんぐらい。90人だと何とかオッケー。それが平均すると半分以下ではやりくりは困難。悔しさばかりがある」
そして、施設の老朽化もー。ボイラーが故障し、シャワーは水しか出ません。
鶴の湯・浦山文一さん
「ボイラーの修理に100万円近くかかる。お金をかけても利用客が来ないから結局赤字がかさんでいく」
地元住民
「寂しいし心細い。昔馴染みだから」
「家が近いからすぐ来られた。遠くの風呂だとなかなか行かなくなるだろうな」
鶴の湯・浦山文一さん
「残したいと思うのはやまやまだが…。利用客に「何もなくなるのか」「もう終わりなのか」「どこに行けばいいのか」と言われると、頭にズキンズキンと響いて申し訳ないというしかない。だけど今までみんなが一所懸命頑張って入りに来てくれて、盛り上げてくれて、冥利に尽きる」
惜しまれつつも、「閉館」という苦渋の決断した浦山さん。9日後に控えた最後の営業日まで、笑顔で利用客を見送ります。
「また待ってます!ありがとうございました!」
最後の営業日となる2月29日には無料で施設を開放することにしています。また、3月以降は、地区公民館としての再活用が検討されているということです。