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迷走する普天間移設問題 政治部記者が解説

2010年3月30日 21:07
迷走する普天間移設問題 政治部記者が解説

 アメリカ軍普天間基地(沖縄・宜野湾市)の移設問題で、「3月中に政府案を一本化する」としていた鳩山首相の発言が、ここにきてぶれている。この問題はなぜ迷走しているのか、政治部・青山和弘記者が解説する。

 鳩山首相が政府案をまとめるとしていた3月末が迫る中、移設先をめぐる政府内の意見の違いは埋まっていない。これまで移設先を検討してきた平野官房長官や北沢防衛相は「普天間基地の機能の大部分を県内に残すことは、現実的にはやむを得ない」という考えだが、鳩山首相は今なお、県外への移設を捨てきれずにいる。政府内で現在検討されている案でも、できるだけ多くの機能を県外に移設できないかと考えていて、まだ政府案をまとめるにはほど遠いのが現状となっている。

 このため、5月末の決着は非常に厳しい情勢で、ある首相周辺は「5月末に何かしら決まるなら奇跡だ」と諦めムードだ。移設に重要な地元の理解は、県内も鹿児島・徳之島も理解を得られる見通しは立っていない。また、アメリカ政府も県外への移設や分散移転には反対を表明している。さらに、連立を組む社民党も、今の政府で検討されている案には反対していて、まさに八方ふさがりの状態だ。ある外務省幹部は「結局、普天間の使用継続しかない」と嘆いている。

 また、亀井郵政相が発表した郵政改革法案の骨子をめぐっても閣内の意見対立が続いている。30日夕方に行われた閣僚懇談会に先だって、鳩山首相は見直し派の急先ぽう・仙谷国家戦略相と亀井郵政相を官邸に呼んで調整に乗り出そうとしたが、亀井郵政相は結局、姿を見せなかった。政治主導を掲げる鳩山政権の意見調整機能の欠陥があらわになったと言っても過言ではない。

 今回の混乱は、今後の政策決定のあり方と首相のリーダーシップに大きな不安を投げかけた。