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総務省 今年の政策課題

2012年1月2日 15:07

 地方行政から情報通信まで幅広い分野を所管する総務省は、今年の最大の政策課題を「地方自治法の抜本改正」「郵政事業の見直し」「被災3県の完全地デジ化移行」に置いている。

 今年の通常国会への提出を目指す地方自治法の改正では、首相の諮問機関である第30次地方制度調査会が、去年12月に住民の直接請求制度の請求要件を大幅に緩和することや、市町村長の専決処分に一定の制限を加えることなどを求めた第1次の意見書を提出して、改正作業が本格化した。今年は、この地方制度調査会が、大阪市・橋下市長の「大阪都構想」を契機に盛り上がる大都市制度の見直しに入る。

 大阪府と大阪市、堺市を解体し、特別自治区からなる「大阪都」を新設するという構想を実現させるためには、現在の地方自治法を改正することが必要で、地方制度調査会がこの大都市制度のあり方について、どのような結論を出すのか注目される。

 郵政事業の見直しについては、郵政改革法案が実質審議に入れないまま、継続審議となっている。郵政改革法案の早期成立を求める国民新党と民主党は、事態の打開のために去年12月にこの法案を取り下げ、現行の郵政民営化法を改正することに方針を転換した。

 これを受けて、民主、自民、公明の3党は「現在の5社体制から『郵便事業会社』と『郵便局会社』を統合して4社体制に改編する」「『ゆうちょ銀行』『かんぽ生命保険』の金融2社は、持ち株会社の『日本郵政』が株式の3分の1超を保有する」という公明党案を軸に調整を続けている。しかし、自民党内には小泉政権時代に郵政民営化を推進した議員を中心に完全民営化を求める意見が根強く、調整作業は依然として難航している。

 総務省と郵政グループとしては、「このまま何も動かない状態が続けば、事業の拡大や新サービスの開始にも踏み切れず、経営基盤が弱体化する」(総務省幹部)との懸念を抱いている。

 東日本大震災で被災して延期となっている岩手、宮城、福島の3県が、4月1日から地上デジタル放送へ完全移行するが、この被災3県の地デジ化を混乱なく進めることも重要な政策課題の一つ。民放やNHKなどでつくる全国地上デジタル放送推進協議会は、この3県でアンテナの取り換えなど地デジ受信のための準備が終わっていない世帯は11年12月末で約2000世帯になるとの見通しを示している。このため総務省は、地デジ未対応世帯をゼロにするため、住民への周知活動を年明けからさらに強化する方針。