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被災地の悲鳴「国の判断遅い」

2012年3月6日 19:45
被災地の悲鳴「国の判断遅い」

 震災からまもなく1年がたとうとしています。日本テレビが被災自治体にお願いしたアンケートでは、まだまだ課題が残されているという重い現実がありました。被災地では今、政治に何が求められているのか、取材しました。

 津波により壊滅的な被害を受けた宮城・南三陸町。あの日からまもなく1年。雪の中、待ちに待った仮設商店街がオープンしました。地元産の魚を使った惣菜(そうざい)を扱う店や理髪店など30店舗が並びます。この日、商店街にはある国会議員の姿がありました。「もうすっかり町ができてしまって、大したもんだね」こう語るのは地元選出の小野寺五典衆議院議員です。気仙沼で老舗旅館を営んでいた小野寺議員の実家も津波の被害を受けました。

 オープンした仮設商店街の近くにある漁港では、地元の漁師さんが全国から集まったボランティアにカキ鍋を振る舞っていました。しかし一歩外に出てみると、カキ処理場の横にあったのはうずたかく積まれたガレキでした。小野寺議員は「いまだにこうですよ、1年たってもね」と話します。そして「せっかくカキは1年でむけて本当に今までにないぐらい海はキレイになったんです。しかし、がれき撤去の脇でカキむきなんかできないじゃないですか」と語ります。

 この場所だけではありません。南三陸町の町中にも、まだ多くのがれきが残されています。環境省によると3月5日現在、南三陸町のがれきは推計56万トン。処理されたのはわずか1.8%にとどまっています。小野寺議員は「早く(ガレキを)片づけなきゃいけないんですが、処理場がなかなか国の認可が下りない。もう燃やす場所も決めたんですけど、今度そうすると燃やすために環境アセスメントで焼却場つくると2年かかるといわれるんです」と語ります。

 こうした地元の要望に迅速に対応しようと先月誕生したのが復興庁。仙台市の復興局では24人の職員が働いています。宮城復興局を担当するのは地元選出の衆議院議員である郡和子政務官。この日は、約20キロ離れた町役場を訪れました。七ヶ浜町の渡辺町長は「差し当たり地盤沈下した部分についての工事をやりたいと考えている」と話します。各自治体の細かい要望を聞き、調整するのも政務官の仕事です。続いて訪れたのは、仙台市内の中間処理場。仮置き場に集められたガレキの分別や処理が行われています。この中間処理場は去年12月に完成しましたが、私たちが訪れたときもガレキはまだ山積みのままで、処理が追いついていないのが現状です。郡和子政務官は「宮城県では19年分、石巻の広大な被災地では100年分ともいわれるガレキの量です。遅れているっていうのではなくて、現実として処理する能力をはるかに超えているわけですよね」と語ります。

 一方で、日本テレビが被災自治体に対して行なったアンケートでは「国の判断は遅いうえ、スピード感がない」「昨年は政局の混乱により、迅速に対応してもらえない時期もあった」など、これまでの政府の対応への不満が聞こえてきます。また、漁業関係者からは「議員さんたちは視察に来ると立派なことをいう。でも、立派なこといっていたのに、なんですぐやんないの?と、それは言いたいですよね」という声が聞かれました。復興のために今、政治はなにをするべきなのか。重い課題が突きつけられています。