3分超えたから…「マイク音きり問題」 伊藤環境相が「水俣病」関係者らに直接謝罪 当事者「落ち着いて議論を」
水俣病の関係団体と伊藤環境相との懇談の場で、環境省側が一方的にマイクの音を切り発言を制止した問題で8日夕方、伊藤環境相が熊本県水俣市を訪れ、直接謝罪しました。
伊藤環境相
「ご発言中に環境省の者がマイクを絞ったこと、環境大臣として深くおわび申し上げたいと思います。本当に申し訳ありませんでした」
8日夕方、伊藤環境相が水俣病関係者に直接謝罪することになった問題。発端は1日、水俣病の関係団体と伊藤環境相との懇談の場での出来事でした。各団体が被害の実情を話す中、松崎重光さん(82)がマイクを持ちました。
水俣病患者連合副会長 松崎重光さん(82)
「私の家内は、去年4月に『痛いよ、痛いよ』と言いながら死んでいきました」
水俣病患者に認定されず、去年亡くなった妻への思いを訴えていましたが…
水俣病患者連合副会長 松崎重光さん
「水銀を垂れ流さなかったらこういうことにはならんかったがね、私はいつも家内と話していました」
環境省担当者
「申し訳ございません、話をおまとめください」
そう話を遮られると…
「切られている、スイッチが。スイッチが切られている」
マイクのスイッチが突然切られ、発言できない状況になりました。
実は、この懇談は持ち時間が3分と決められていて、時間を過ぎると、環境省側が一方的にマイクを切っていたのです。
懇談会終了後…
参加者
「マイクの音量の調整をしたのかどうかだけ確認させてください」
環境省担当者
「事務方の不手際でございました、誠に申し訳ございません」
参加者
「不手際ということは、やったということだね」
参加者
「マイクを切ったことについてはどういうふうに思われますか」
伊藤環境相
「私はマイクを切ったことを認識しておりません」
参加者からやまない怒りの声。
公害の原点とも言われる「水俣病」。公式確認から68年たった今も国などに対し、水俣病の認定や損害賠償を求める人が相次いでいます。
年に1回の大臣との懇談の場。しかし“話を一方的に切る”という環境省の対応に8日、参加団体は…
水俣病の関係団体
「被害者をバカにしている、愚弄(ぐろう)している」
関係者らの怒りに直接謝罪するため8日、水俣市を訪れた伊藤環境相。1人ひとりに頭を下げ謝罪しました。
水俣病の関係団体
「来年からは3分と言わず、最低10分は被害者の声を聞いてください」
その後、松崎さんのもとを訪れると、伊藤環境相は松崎さんの妻もまつられる仏壇に深く頭を下げました。
伊藤環境相
「私は松崎さんの話、頭からマイクが絞られたという期間も一言一句、全部聞かせていただきました。メモも取らせてもらいました」
自身は、「松崎さんの声は聞こえていた」と強調した上で…
伊藤環境相
「私もまさか、大事な発言をなさっている途中に(音を)絞るということがあると思わなかったし、あってはならないことだと考えています」
水俣病患者連合副会長 松崎重光さん
「懇談会は、別に慌ててお話を双方するよりもよく落ち着いてお話を聞いて、また話していただければ」
伊藤環境相
「はい」
女性
「そういった(懇談の)場を設けていただけますか?」
伊藤環境相
「設けるよう努力します」
女性
「努力ではなく設けていただけますか?」
伊藤環境相
「も…設けます」
謝罪をうけた松崎さんは…
水俣病患者連合副会長 松崎重光さん
「罪を憎んで人を憎まずという気持ちがわいてきた。(大臣には)先へ進むようにしていただければ、水俣病はもう終わったと笑って過ごせるような活動をしてもらえると」
(5月8日放送『news zero』より)