“早期の解散戦略は遠のいた” 首相の長男「秘書官」辞職で"衆院解散”に影響は? 内閣支持率50%回復も…
岸田首相の長男が首相公邸で不適切な行動をして首相秘書官を辞職した問題で、野党側が岸田首相を追及しました。自民党内で「すぐに衆議院を解散すべき」との声が高まっていた中、長男の辞職で与野党からは「早期の解散戦略は遠のいた」との見方も出ています。
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30日、野党が国会でただしたのは、6月1日付で首相秘書官を辞任する、岸田首相の長男・翔太郎氏についてです。
立憲民主党 田島麻衣子議員
「長男の翔太郎氏の辞職についてうかがいたいと思います」
翔太郎氏が岸田首相の秘書官に起用されたのは、去年10月です。当初、岸田首相は、翔太郎氏の起用は“適材適所”と述べていました。
岸田首相(去年10月)
「適材適所の観点から、総合的に判断したものであります」
しかし今回、翔太郎氏は去年12月30日に親族と首相公邸で忘年会をしたと週刊文春に報じられました。赤じゅうたんが敷かれた階段で撮った集合写真や、岸田首相の甥とされる男性が赤じゅうたんの上で寝そべっていたりする写真も掲載されていました。
立憲民主党 田島麻衣子議員
「これは更迭であると理解してよろしいですか?」
岸田首相
「昨年の行動が、公的立場にある総理秘書官として不適切であり、けじめをつけるために交代させる。更迭かどうかというご質問ですが、別に言葉の遊びをするつもりはありません」
さらに、野党が追及したのは、翔太郎氏への退職金や、夏のボーナスについてでした。
立憲民主党 田島麻衣子議員
「6月1日に辞職ということなんですが、(制度では)満額支払われることになっております」
岸田首相
「退職金、いわゆるボーナス等については、辞退、あるいは返納する旨、本人の意思を確認しております」
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また、野党は翔太郎氏を辞職させる判断が遅かったと批判しています。
立憲民主党 安住国対委員長
「政治はもとより、国民の意識や声に敏感でなきゃいけないと。これが鈍感になっているから、ご長男の更迭は遅れたのではないかと私は思っています」
自民党内からは、苦言も出ています。
自民党 梶山幹事長代行
「公職に就く者、その周りにいる者、しっかりと襟を正して、自らその行動というものを考えていただきたいという思いです」
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翔太郎氏は不適切な行動により、事実上の更迭となりました。この辞職が、岸田首相の「解散戦略に影響する」という見方も出ています。
岸田首相の肝いりで5月にG7(=主要7か国首脳会議)広島サミットが開催されました。その最中に行ったNNNと読売新聞の世論調査では、岸田内閣の支持率は56%と8か月ぶりに50%台に回復し、自民党内からは「すぐに衆議院を解散すべき」との声が高まっていました。しかし、そのタイミングで身内の不適切な行為が噴出し、与野党からは“早期の解散戦略は遠のいた”との声があがりました。
自民党議員
「サミットでのプラス要素が消えてしまった」
立憲民主党幹部
「解散すると思っていたが、これで難しくなったのでは」
一方、自民党の幹部からは「影響を与えない」との声も出ています。
自民党 遠藤総務会長
「(岸田首相は)適切な時期に解散を判断されると思いますから、そのこと一つ一つが解散戦略に関わってくるとは思っておりません」
早期の解散総選挙はあるのか。会期末まで1か月を切り、緊迫した状況が続きます。