盛山氏が“スーパー大臣”? 「不信任案」否決 なぜいま提出…野党の狙いは
20日、いわゆる“統一教会”との関係が疑われている盛山大臣の不信任案が否決されました。なぜこのタイミングで不信任案が提出されたのか、野党の狙いはどこにあるのかなどについて、政治部官邸キャップ・平本典昭記者と3つのポイントに絞ってお伝えします。
藤井貴彦キャスター
「政治部官邸キャップの平本さんと3つのポイントにしぼって聞いてきます。1つ目は『スーパー大臣』誕生、2つ目は『異例の早さ 不信任案』、3つ目は『政治倫理審査会2人出席 狙いは?』です。『スーパー大臣』というのは記者が名付けた名称ですか?」
政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「記者というよりかは、政府内で呼ばれている名称なんです。20日に不信任案が否決された盛山大臣が今、こう呼ばれています。どういう意味かというと、盛山大臣の不信任案が否決、つまり、大臣は信任されたわけですけれど、これで与党側は、盛山大臣は国会戦略上はもう野党から攻められる理屈はなくなったと」
「つまり『スーパー大臣』とはスーパーマンになぞらえた言葉で、『国会戦略上は無敵』という意味なんです。この後も国会審議が続きますが、政府関係者からは『これでもう盛山大臣は、攻撃はされない。不信任を早く出してくれて助かった』という声すら聞こえてきます」
■不信任案…なぜいま提出? 野党の狙いは
藤井キャスター
「“国会戦略上は信任された”とはいえ、うっすらとした記憶ではなくて、明確な記憶について盛山大臣がいつか説明をする機会が必要だとは思いますが…ではなぜ、野党はこのタイミングで不信任案を出したのでしょうか?」
平本記者
「まずこの時期に不信任案を出したタイミングですが、『異例の早さ』と言えます。(不信任案の)提出時期に『早い』『遅い』があるのか、と思うかもしれませんが2月19日の提出、取材して早いと思って調べてみると、過去10年間で一番早い『異例の早さ』でした」
「これまでは衆議院での予算審議がもう少し終盤に差し掛かって出されていたことが多かったですが、今回は早かったです。その理由についてですけれども、まず野党側は、22日のいわゆる“統一教会”の解散命令請求に関する裁判(=審問)があり、盛山大臣が責任者であるのはおかしいと理由を説明しています」
「ただ、もう1つ大事なのは、ある野党幹部は『今、盛山大臣と政治とカネの問題、2方面の国会戦略になっていますが、これで政治とカネに集中するためだ』とその戦略を明かしています」
■政倫審 自民党「2人だけ出る」 ”51人全員の出席”求める野党とギャップ
藤井キャスター
「追及のエネルギーが分散するのを避けるという意味もあるかもしれませんが、政治とカネの問題では、次の焦点は政治倫理審査会がどうなるかですが、自民党はまずは『2人だけ出る』と回答しました。この狙いは、どのあたりにあるんでしょうか?」
平本記者
「野党側はこれまで51人の出席を求めていましたが、自民党側はまず2人だけだと。その2人とは、安倍派の座長である塩谷議員と二階派の事務総長の武田議員です。狙いについてある閣僚経験者は、『安倍派と二階派の幹部2人が、それぞれの派閥を代表する立場で出るという姿勢を示したかったのだろう』と話しています」
「野党側は反発していますが、ある自民党の議員は、今後については、『ここからどこで線を引いていくのか、交渉がこれからスタートするんだ』と話しています」
藤井キャスター
「51人全員出席してほしいという野党と、2人だけでという自民党とでは、本当に51人やるとかなりの時間がかかると思いますけど、自民党と野党の間にはかなり隔たりがあります。このあたりのギャップをどう埋めていくんでしょうか?」
平本記者
「ギャップは党内でもありまして、ある安倍派のベテラン議員は、『全員出ればいい』という積極姿勢の人もいれば、二階派の中堅議員は、『51人、1人1時間としたら51時間かかる。非現実的だ』という消極姿勢の議員もいます」
「党内の意見集約がかなり大変なんですが、なぜこれだけ長引いているかというと、どうも自民党内でこの問題を仕切る司令塔が見えてこないと思います。理由についてある閣僚経験者は『恨みを買う仕事なので誰もやろうとしない』と述べています。自民党と野党の隔たりもそうですけど、自民党内の意見の集約も難しく、まだ落とし所は見えてこないのが現状です」