【解説】政治資金事件で自民党「聞き取り調査」 匿名での結果公表に党内からも「意味ない」の声
■なぜ?「匿名」で調査結果を公表 自民党内からも「意味ない」
「聞き取り調査」では、今週行ったアンケートではわからなかった「使い道」が明らかになります。しかし、調査結果は「匿名」での公表となり、どの議員の「使い道」かは明らかにされないということです。
なぜ匿名なのか、調査にあたった議員の1人は“実名より匿名のほうが「使い道」を詳しく話してもらえるから「匿名」にした”と説明しています。実名での公表が前提だと“話す中身”が減るのなら、匿名のほうがより「使い道」が明らかになるから、という理由です。
野党側は早速「匿名の調査など意味がない」と反発を強めていますし、自民党内からも「匿名だなんて発表する意味がない」「まだ何かを隠そうとしているのかと思われてしまう」(閣僚経験者)などという声が上がっています。
■「政倫審」開催のハードルは?
――聞き取り調査は匿名であっても、疑惑を向けられた議員自らが「使い道」など詳細を説明してほしいですね。その説明の場として自民党も、政治倫理審査会(政倫審)の開催に向けて調整に入ったということですが、すんなり行きそうですか?
岸田首相や自民党幹部は、「政倫審」を開催しようと腹を固めたようですが、最大のハードルは対象となる安倍派幹部や二階元幹事長を「誰が説得するのか」という点です。
現時点では安倍派幹部の中には「呼ばれれば行く」という姿勢を示している人と「出て行く必要はない」という人がいます。いくら開催すると決まっても「政倫審」には強制力はなく、本人が「出ない」と言えば意味がありません。となると、安倍派幹部や二階元幹事長などの重鎮に一体誰が説得にいくのか…と、党幹部もお互い顔を見合わせているような状況に見えます。
■首相の「危機感」と「焦り」
「政倫審」について、ある岸田首相の側近議員は「安倍派の恨みを買えば総裁選にマイナスだ」などと慎重な姿勢でした。やらないで済むのなら…という気持ちがあったのかもしれませんが、国会での野党からの追及や、世論の反発などもあり、岸田首相が周辺に「政倫審を行わなければ自民党がもたない」と話していたということです。
というのも今の国会での岸田政権の最大のミッションは来年度の予算案を成立させることです。野党側は政治とカネの問題で攻勢を強め「政倫審」の開催を予算審議の条件にする構えで、与党側も応じざるをえない「焦る」状況になっていました。
岸田首相としてもこの「危機感」と「焦り」から、政倫審の開催に応じる姿勢に傾いたというのが本音と言えそうです。
(2024年2月15日放送『news every.』より)