【そもそも解説】「政治とカネ」問題でよく聞く“政倫審”って何? 開かれれば15年ぶり!
■政倫審って何?
政倫審(せいりんしん)の正式名称は、政治倫理審査会。一連の自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、野党側は政倫審を開き、自民党安倍派や二階派の幹部らの出席を求めています。5日の衆議院予算委員会でも、立憲民主党の岡田幹事長が岸田首相に対して政倫審の開催を求めました。
政倫審は衆議院と参議院にそれぞれ設置され、政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的・道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う機関です。行為規範の遵守、登院自粛、国会役職辞任などを勧告できますが、法的拘束力はありません。また議員辞職などを勧告することはできません。
現在、衆議院の政倫審委員は25人です。25人の3分の1以上=9人以上の委員から「申し立て」があった場合、もしくは、不当な疑惑を受けたとする議員本人が申し出た場合に審査会が開かれます。現在25人のうち野党の委員は8人。そのため、ある自民党幹部は「与党も同調しないと開会できないから政倫審は開けない」と話しています。
■原則非公開?
また「審査会は傍聴を許さない」との規定があり、原則として非公開です。しかし、申し出た本人(議員)からの要望などがあった場合、公開となることもあります。
衆議院の政倫審は1985年に設置されて以降、9回開かれています。参議院では、これまで一度も開かれていません。9回のうち、本人の申し出で開かれたものは8回。委員の申し立てで開かれたものは1回です。
申し出で開かれた直近の政倫審は、2006年2月23日の自民党・伊藤公介議員(当時)の耐震強度偽装問題に関する審査会。この審査会はメディアにも公開され、問題があった不動産業者社長と国土交通省の担当課長を引き合わせた伊藤議員が「政治倫理に反していない」と弁明しました。
申し立てで行われた政倫審は、2009年7月17日の民主党・鳩山由紀夫代表(当時)の資金管理団体の政治資金収支報告書に、亡くなっていた人などからの献金が記載されていた問題について開かれました。こちらも公開されましたが、鳩山氏本人は欠席しました。
国会議員に疑惑や問題が生じた際、国会で説明を求める場は「政倫審」の他にもあります。
その一つが「参考人招致」。参考人は、質疑者の要求、または理事の協議により、委員会の議決を経て委員長が招致し、出席、答弁することとされています。ただし、強制力はありません。
強制力のあるものが「証人喚問」。憲法の定める国政調査権と議院証言法に基づき、国会が証人を呼ぶことができるもので、うその証言をしたり、正当な理由なく出席を拒んだら、偽証罪・出頭拒否罪などの刑罰が科されます。
野党側は、原則非公開の政倫審は自民党側にとってもハードルが低く開催しやすいのではないかと見ていて、立憲の安住国対委員長も「徐々にハードルを上げて、最後は証人喚問まで徹底してやらせていただきたい」と徹底的に追及する姿勢を示しています。