戦後70年談話報告書 踏み込んだ内容に
戦後70年談話について検討してきた有識者会議が6日、報告書をまとめた。安倍首相が来週発表する談話は、この報告書を踏まえたものになるため、内容が注目されている。
報告書のポイントは、「歴代の談話での表現をどう引き継いでいるのか」ということだ。これまで、戦後50年には当時の村山首相が、戦後60年には小泉首相が談話を発表してきた。これらの談話には、首相の歴史認識を示す表現として、「痛切な反省」「植民地支配」「侵略」「心からのお詫(わ)び」といった言葉があった。安倍首相はこれまで、「反省」については表明してきているが、「植民地支配」「侵略」「お詫び」という言葉は使っていないため、これらの表現が盛り込まれるかどうか焦点となっている。
報告書では戦前の日本の行為について「植民地支配」「侵略」と指摘するなど踏み込んだ内容となった。安倍首相がこれをどう受け止め、談話に反映させるのかが焦点。
報告書では「1930年代後半から植民地支配が過酷化した」と指摘したほか、「侵略」については「満州事変以後、大陸への侵略を拡大」などと当時の日本が中国大陸に「侵略」したと認めている。一方で報告書は、村山談話で示された「お詫び」などが中国や韓国から「評価」されたことを紹介している。
安倍首相は報告書を参考にするとしている。報告書に盛り込まれた「侵略」だが、安倍首相は今年4月の国際会議で「侵略しないという原則を守り抜く国であろうと誓った」などと述べる一方で、戦前の日本の行為が「侵略」かどうかには触れなかった。複数の首相周辺や政府関係者は「こうした手法を踏襲する」との見方を示している。
一方で、「お詫び」については、首相の側近が「謝ればいいというものではない」と述べるなど、盛り込まれることに否定的な見方が多数だ。談話に関わっている複数の政府関係者は「何を間違えたのか、何を反省しているかを明確にすべきだ」と話している。
安倍首相は談話を14日に自ら発表する方向で、謝罪の連鎖に区切りをつけたい考え。しかし、内容次第では中国や韓国が反発することも予想され、世論や外交への影響も見極めながら表現の調整をギリギリまで行う見通し。