海外より高い?携帯料金“値下げ”はあるか
「4割程度、値下げの余地がある」。菅官房長官の発言をきっかけに広がった、携帯電話料金の見直し。14日、携帯大手3社から聞き取りが行われた。3社は値下げへの取り組みを説明。携帯料金は、さらに安くなるのだろうか。
◆携帯料金は高い?実感は…
横浜市に住む主婦の後藤友子さんを訪ねた。後藤さんが今、頭を悩ませているのが、家族の携帯料金だ。最近、高校1年生の娘が子ども用の携帯からauのスマートフォンに替えたことで、娘の月々の料金が4倍以上になったという。
後藤友子さん「(娘だけで)月7081円と、すごいガクンと金額が変わって」
自営業のため、経費で携帯料金を精算している夫を除けば、家族3人分のひと月の料金の合計は約1万5000円にのぼるという。そのため──
後藤友子さん「外では通信料がかかり過ぎるので、家でWi-FiでつながるところでゲームをしたりだとかTwitterとかをやっている」
携帯代を少しでも抑えようと、携帯を使ってのゲームをする時や動画を見る時は、Wi-Fiを使える家の中でしかやらないなど、家族で工夫をしているという。
毎月の携帯料金について街で聞いてみても、NTTドコモ・ソフトバンク・KDDIの携帯大手3社を利用する人からは、「料金が高い」との声が聞かれた。
◆菅官房長官が“値下げ”言及
こうした中、今年8月、総務相も経験した菅長官が、大手3社が高い利益率を上げていることなどに触れ、今よりも値下げすべきと発言した。
菅官房長官「(携帯料金は)今よりも私自身は、4割程度下げる余地はあるのでは」
今月14日も──
菅官房長官「納得のできる料金でサービスを提供できる、そうしたものが実現できるように取り組んでいる」
菅長官が根拠に挙げてきたのは、日本以外の国との比較。総務省によると、世界の主要都市と比べても東京の携帯料金は高いという。
政府の狙い通り、料金は値下がりするのだろうか?
◆大手3社の説明は
総務省は14日、大手3社にヒアリングを行った。この中で、大手3社からは、KDDI担当者が「実績として(すでに)30%くらい安くなっている」と述べるなど現在の取り組みをアピールする一方で、ソフトバンク担当者が「最新の状況で比較したところ、料金的には(世界でも)中位程度だ」とするなど、反論も出た。
また、各社は料金に関する方針についても説明した。
ドコモは、来年度から端末と利用料金を分離し、2割から4割値下げするプランを提供すると改めて説明。KDDIとソフトバンクは、すでに「分離プラン」を導入していて値下げ済みだとした上で、今後については、KDDIは「低価格化に向けて改善を図る」、ソフトバンクは「料金を下げることを目指す」とした。
◆価格競争“激化”で値下げへ?
こうした中、来年10月には、楽天が第4の携帯キャリア会社として参入。大手3社の半額程度の料金で総務省に申請した。
さらに、価格競争の一角には格安スマホ業界も──
イオンリテール・モバイル事業部 井原龍二さん「解約金がない、期間縛りを設けていない。こちらも(大手)各社との差別化。(大手の値下げで)市場全体は活性化していくかなと感じています」
格安スマホ会社のイオンモバイルは、「解約金がない」などをウリに大手3社の値下げに対抗するという。
今後、競争激化が予想される携帯電話業界。いっそうの値下げにつながるのだろうか。