戦没者の遺骨発見も…進まぬ収集 問題は
終戦から74年を迎えようとしている今も、かつての戦地には多くの戦没者の遺骨が残されたままだ。なぜ収容はなかなか進まないのか。作業の現場を取材すると、多くの問題が浮き彫りとなった。
◆遺骨収集に同行、突然の大雨が…
アメリカ軍との激戦の地・沖縄。沖縄と硫黄島を含む海外での戦没者は、厚生労働省によると約240万人。その半数近い112万柱の遺骨が、今も収容されないままだ。
日本テレビは先月、沖縄県糸満市でボランティア団体『日本青年遺骨収集団』による遺骨収集に同行した。
沖縄の方言で「ガマ」と呼ばれる洞窟は、軍人だけでなく一般住民も身を隠し、激しい攻撃の犠牲となった。
この日は、突然の大雨。
伊谷野尊裕さん「かなり下、ぬかるんでます。安全には気をつけて、最後の1柱でも多く収容できればと思います」
しかし──
伊谷野尊裕さん「このままだと危険なので、体だけ上がってください!早急に!」
◆多くの遺骨発見も…問題は身元の確認
次の日、作業を再開。今回の活動で多くの遺骨が見つかった。
問題は、身元の確認だ。
間中悠太さん「この方じゃないかって明確に指し示すような物(遺留品)とか情報がないと(DNA)鑑定がなかなかできなくて」
このボランティア団体の理事長を務める赤木衛さんは、政府ができるだけ多くの遺骨のDNA鑑定を行うべきだと主張している。遺族から戦没者のDNAに関するサンプルを提供してもらい、照合を徹底すれば、より多く身元が判明するというわけだ。
しかし厚労省は、遺族が鑑定を望んでも、遺留品などがないと鑑定を行っていない。さらに──
日本青年遺骨収集団 赤木衛理事長「現場で骨を焼いてしまうっていうことが原因で、そもそも鑑定にまわす機会を自ら逸してしまっているっていうのが現状です」
現在、多くの遺骨が荼毘(だび)に付されてしまう。遺骨は焼かれてしまうとDNAの抽出が難しくなってしまうのだ。
日本青年遺骨収集団 赤木衛理事長「たった一つしかない人生を、この国の未来のため、かけてくださった方々のために行うべき事業なのにもかかわらず、いろんな意味で血の通っていない、行政機関のやり方だなという意味では多少憤慨しております」
沖縄では、遺骨の一部は遺留品がなくてもDNA鑑定を行っている。厚労省は日本テレビの取材に対し、今後、硫黄島など他の地域への拡大も検討しているとする。
◆取り組みの徹底を
長年、遺骨収集に取り組んで来た立憲民主党の阿部議員は、取り組みの徹底を求めている。
立憲民主党 阿部知子議員「あの戦争を国民の記憶の中にインプットしておかないと忘れやすくて。終わったことは忘れたよって言ってはいけないんじゃないかと思うので、国を挙げた事業として遺骨収集にはもっともっとマンパワーをいれて臨んでほしい」
安倍政権は遺骨収集の予算を増やしているが、抜本的な取り組みの見直しが求められている。