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“裏金議員”一部非公認へ 石破首相の決断…ウラに何が?

2024年10月7日 19:13
“裏金議員”一部非公認へ 石破首相の決断…ウラに何が?

石破首相が、いわゆる裏金議員の一部を非公認するという決断を打ち出しました。一体、裏側では何がおきていたのか、次の3つの疑問から日本テレビ政治部官邸キャップの平本典昭記者が解説します。

(1)“苦渋の決断”水面下で何が?
(2)“非公認”選挙プラス? マイナス?
(3)野党は攻撃…非公認「相当数」?

■“苦渋の決断”水面下で何が?

石破首相にとって「苦渋の決断」だったようです。その苦しさについて周辺に「決断しなければ自民党自体がつぶれてしまう」と語っていたということです。

全員を公認すると検討していたなかで厳しい決断に至ったのかについて、2つの理由があったと思います。

1つ目は解散の決定をめぐり方針転換したことに対して「石破首相は約束を守らない」と批判が出たことです。ある首相周辺は「批判をあびて、石破首相は目が覚めた」と話しています。

石破首相に対しては「古い自民党に取り込まれた」「らしさを失った」など厳しい声が上がりました。さらに、所信表明演説でも「石破カラー」を封印したと言われ、どうも石破首相自身も「自分らしさが出ていない」と悩んでいたようです。

2つ目は先週、自民党で極秘に行った選挙の情勢調査です。ある自民党幹部は「予想以上に悪く、首相も何か手を打たないとまずいと判断したのだろう」と分析しています。

「らしさ」を取り戻すため、強まる逆風の中での決断だったと言えます。

■“非公認”選挙プラス? マイナス?

プラス面、マイナス面については、両方あると思います。

まず、プラス面ですが、自民党幹部からは「これで逆風がやめばいいが」、ほかの幹部の1人からは「裏金議員以外にも悪い影響が出ることを食い止める良い判断だ」と、プラス効果を期待する声が出ています。

一方で、マイナス面もあります。ある旧安倍派幹部からは「これでは選挙に出ても落選するだけだ」「『重複がないのは落選しろ』と言われたようなもの」と、旧安倍派議員の議席獲得が難しくなるという懸念が出ています。

実はもう1つ、選挙制度に関係するマイナス面が指摘されています。

衆議院選挙では投票所で2票投じます。まず、1票目は候補者名を書くわけですが、今回、非公認になった議員はこの候補者名を書いてもらう小選挙区で1番にならないと、比例代表の復活当選はないため「重複がないと落選してしまう」と嘆いているわけです。

もう1票は、政党の名前を書きます。今回、非公認になった議員の選挙区では基本、自民党の候補はいなくなります。そのため、「自民党に投票してくれ」という候補がいなくなり、運動量が減ってしまうということです。結果、「比例代表の票が減り、比例議席が減ってしまう」というわけです。

小選挙区と比例代表のダブルパンチが、自民党にとって「きつい」ということです。

今回の決断を郵政選挙の時と比較する人がいます。当時はいわゆる“刺客候補”ということで自民党の公認候補を立てましたが、今回は時間もないことからこうした候補を立てるという動きには至っていません。自民党の比例票をすくうというのが厳しいのではないか、という声が上がっています。

ある自民党幹部は「この判断が吉と出るか、凶と出るかは、選挙の結果次第だ」と話しています。

一方で、旧安倍派幹部からは「旧安倍派つぶしだ」、旧安倍派の中堅議員からは「もう石破政権は支えられない」という声が聞かれます。旧安倍派以外からも、あるベテラン議員からは「党の分裂が進む」「選挙後は、結果次第で石破おろしの動きが出る」などの声が聞かれ、選挙後の政権運営のリスクも抱える形となっています。

■野党は攻撃…非公認「相当数」?

野党側が注目しているキーワードは、石破首相が言った「相当数」といった言葉です。

今回、自民党執行部は、いわゆる裏金議員らおよそ40人の重複立候補を認めない考えです。石破首相はその数が「相当数」になると言っています。

現時点では少なくとも10人は超えそうだということですが、野党側は「10では相当数ではないだろう。全員非公認にしないと、国民は納得しない」と7日も国会で攻めていました。

自民党は9日までに、最終的に何人の議員を非公認にするか決めたい考えです。この問題、まさにわたしたち有権者が、石破首相の決断に「納得・共感」できるかどうかが問われています。

自民党執行部は今後、世論の受け止めや党内の反発、選挙情勢などを見極め、どこまで非公認にするかなどを判断していく考えです。

最終更新日:2024年10月26日 23:02