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【貴重映像】迫り来る弾道ミサイル…そのとき最強の盾「イージス艦」が動く! 緊迫の迎撃訓練に密着! 貴重な艦内映像も【バンキシャ!】

2023年6月19日 15:23
【貴重映像】迫り来る弾道ミサイル…そのとき最強の盾「イージス艦」が動く! 緊迫の迎撃訓練に密着! 貴重な艦内映像も【バンキシャ!】

ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮。3日前にも弾道ミサイル2発を日本海に向けて撃った。その脅威から日本を守るのが「最強の艦艇」といわれる海上自衛隊のイージス艦だ。バンキシャ!のキャスターの桝太一アナと後呂有紗アナがイージス艦「きりしま」に乗り込み、迫り来るミサイルを迎撃する緊迫の訓練にベタバリした。(真相報道バンキシャ!)

      ◇

海上自衛隊のイージス艦「きりしま」。全長は161メートルで、10万馬力。


「風が強い!」イージス艦の甲板で海風に吹かれ桝は言った、「こんな中でも訓練は普通に行われるということです」

まずは、「きりしま」のNo.2、副長の河埜(かわの)3等海佐に艦艇の装備を見せてもらうことにした。

きりしま砲雷長兼副長・河埜真吾3等海佐(39)
「砲雷長です」河埜3等海佐が桝を連れて歩きながら無線で連絡をする、「今から錨甲板(いかりかんぱん)の方に行きますので」

艦の前方、錨甲板には、その名の通り錨(いかり)を揚げ下げするための艤装(ぎそう)があるが、なによりも目立っているのが、そのすぐ後ろにある大きな主砲、127ミリ連射砲だ。

副長・河埜3等海佐
「127ミリ、動かしてください」


「おおおっ…」

砲門が動いて桝の方を向くと、桝は思わず声を上げてすくみ上がった。


「何に対する砲撃を…」

副長・河埜3等海佐
「対空目標(敵機)が飛んできた場合に、まずミサイルで対応します。その次に、ミサイルでもダメであれば、この主砲で撃ち落とします」

ふたたび砲門が動くと桝はまたしてもビクッとして腰が引け、口に手をあてて情けないような声を出した。


「おおおっ…」

127ミリ連射砲の最大射程は約24キロ。1分間に40発の連射ができる。

隊員
「配置につけ!」

次に見せてもらったのは、艦の両舷(両サイド)にある装備だ。


「これは一体?」

副長・河埜3等海佐
「潜水艦に対する魚雷が入っております」

隊員
「発射はじめよし! 短魚雷、用意! 撃て!」

バシュッ! という大きな音を立てて、魚雷が発射された。


「うおおお! 今のは実弾じゃないですよね」

副長・河埜3等海佐
「今のは、空気だけです」

今回の訓練では空包が使われたが、その迫力に桝は驚きを隠せなかった。

しかし、イージス艦が「最強の艦艇」と言われるゆえんは、ほかにある。それが、艦の前方と後方に設置されている特殊なミサイル発射装置だ。

副長・河埜3等海佐
「VLSといいまして、垂直にミサイル等を発射できるようになっております」

ここから発射される迎撃ミサイルは、レーダーが捉えた飛しょう体を撃ち落とすことができるという。最強の艦艇にして「最強の盾」とも呼ばれるイージス艦は、まさに日本を守る「盾」なのだ。

     ◇

イージス艦「きりしま」は、他の船がいない訓練エリアに入っていた。

隊員
「艦橋、変針1分前。次の針路は180度」

隊員
「変針点になりましたら、取り舵をとり針路180度とします」

針路は北を0度、南を180度と呼ぶ。つまり、針路変更の1分前、次の針路は南方向という意味だ。

航海長・矢野勇貴1等海尉
「これから左に針路をとりますので、桝さん、操舵(そうだ)員としてついていただいて」


「私が…舵をとるんですか?」

航海長
「そうです」


「160mある船だと思うと、ちょっと怖すぎるんですけど…」

安全な航海をするための針路変更、艦長立ち会いのもと、桝が特別にイージス艦の舵をとる。

「艦橋、ただいま変針点」

隊員が方向を変える「変針点」に到達したことを告げる。

航海長
「取り舵いっぱい!」


「取り舵いっぱい!」

操舵員
「もっともっと!」

鋭く指示が飛ぶ。「取り舵いっぱい」とは、左にめいっぱい舵を切ることをいう。


「こんなに回しちゃって大丈夫ですか? 結構切りましたよ」

艦艇がゆっくりと旋回を始める。


「あ~、ぐっと動いてます! 取り舵30度。あー、曲がってます。すごい遠心力で外側にふられる。イージス艦がまわっています。しかもかなりの急カーブを描いているのではないかと」

ヘリコプターから撮った映像を見てみると、桝が舵をとった「きりしま」は徐々に角度をつけ、左へ90度針路を変えた。

「ありがとうございます…」ほっとして桝が言った、「いや…これ…、ずっと頭の中で考えながらじゃないと無理ですね」

操舵員長・関根正登1等海曹
「もう慣れて、感覚でやってますので、号令に即応できるように体ができてます」

巨大な艦艇は目視だけでなく、いくつもの計器やレーダーを確認しながら舵をとらなければならない。その想像以上の難しさに桝は舌を巻いた。

     ◇

長期航海があたりまえのイージス艦だが、そこにはおよそ250人が乗り込んでいる。気になる生活空間を、桝に代わって後呂キャスターが見せてもらった。

きりしま砲術士・吉村那美3等海尉(25)
「本日、案内します吉村3尉と申します」

防衛大出身の若き幹部吉村3尉は、海自の制服に憧れて入隊したそうだ。彼女にまず案内されたスペースは…。

後呂
「えっ、湯船ある!」

吉村3尉
「海水のお風呂です」

後呂
「か、海水!?」

吉村3尉
「はい、真水は貴重なので」

後呂
「なるほど。船の中だから限られているんですね」

浴室は全部で6つ、女性専用は1つあるという。

後呂
「船に乗ってから、女性の方もすごく多いんだなと思ってびっくりしたんですけど、だいたい何人くらい働いているんでしょう」

吉村3尉
「全体の1割くらいなので」

きりしまの乗員数はおよそ250人。そのうち女性は20人ほどいて、それぞれの専門性を持ち活躍している。

吉村3尉
「こちらがレストエリアと呼ばれる場所です」

航海中、家族と会えない乗員にとって唯一の連絡手段が、艦内の限られたスペースで使える海上自衛隊独自の“家族メールアプリ”だ。

後呂
「共用のスマホですか?」

吉村3尉
「これは自分のスマホです。ここには家族メールを使うためだけのWi-Fiがあるので、それにつなげて」

吉村3尉は新婚ほやほや! ダンナさんは大学院生だ。そのやりとりをちょっと見せてもらった。

後呂
「すごい、お手紙みたいな長文ですね」

ダンナさんは、勉強や研究で、いろいろと苦労している様子だ。

後呂
「返す時はしっかりと長文で」

吉村3尉
「いや3行くらいで…」

後呂
「3行ですか!?」

吉村3尉
「今日も揺れてます。疲れました。はやく帰りたい。で、終わりなんで」

後呂
「心配になっちゃいますね」

吉村3尉
「生きてることは分かるので、大丈夫です」

     ◇

出港から2時間。きりしまは目的の訓練ポイントに到着していた。桝は艦長の後についていくつもの鉄の扉をくぐり、ある部屋の前まで来た。

艦長
「CIC=コンバット・インフォメーション・センター。すべての情報がここに集約され、戦闘の指揮をとる部屋です。どうぞ」

そう言うと艦長は厚い鉄の扉を開け、桝を連れて中へ入った。


「あっ、中は暗いです」

桝は驚いたようにそう言うと、声を潜めて続けた。


「そして…、画面だらけですね」

日本の防衛の最前線。戦闘の指揮を執る“CIC”。機密情報だらけだ。ここでイージス艦における最も重要な訓練がはじまった。日本に向けて発射された弾道ミサイルを防衛省のレーダーが探知。その情報がきりしまに入り、即座に迎撃するという想定だ。

船務長
「弾道ミサイル発射情報を入手しました。配置につけます」

艦長
「了解。対BM(弾道ミサイル)戦闘用意!」

すると隊員が「警報」と書かれた赤いボタンを押下! CIC内にアラームが鳴り始めた。いやがおうにも緊張感が高まる。


「弾道ミサイル発射情報を探知しましたというのは、私もそういう速報を読んだことはありますけど、実際もしもの時はこうなるんですね…」

桝はことの重大さをあらためて感じたようだ。アラームと同時に艦内250人の隊員が一斉に走り出し、それぞれの配置へつく。


「でも実際、本当に起こってもおかしくはない状況を想定してますよね」

副長・河埜3等海佐
「そうですね。実際に起こってますので」

そう、北朝鮮などからの発射情報が入るたびに、この総員配置がとられているのだ。隊員たちは艦内にいくつもある鉄の扉を次々に閉め、大きなロックをかけていく。今回のシナリオでは、まず、防衛省のレーダーが弾道ミサイルを捕捉。標的は首都圏だ。着弾まではわずかな時間しかない。

電測長
「弾着予想位置、迎撃指示、下令」

防衛省からの指示を伝達する。

船務長
「目標迎撃指示下令、対処します!」

艦長
「了解!」

スパイワンレーダーから電波を放ち、飛しょう中の弾道ミサイルの位置をとらえた。

船務長
「対BM(弾道ミサイル)戦闘、SM-3(迎撃ミサイル)攻撃はじめ!」

対空戦闘指揮官
「エンゲージ SM-3」

迎撃ミサイルSM-3の準備が整った。本番さながらに全ての手順を確認。

ミサイル員
「発射用意! 撃て!」

ミサイル員
「SM-3発射!」

迎撃ミサイルが実際に発射された想定でデータがはじき出される。

ミサイル員
「インターセプト5秒前」

ミサイル員
「スタンバイ…」

ミサイル員
「マーク、インターセプト!」

対空戦闘指揮官
「ターゲットキル。対処中のBM(迎撃ミサイル)なし」

迎撃に成功した。

船務長
「目標迎撃しました。攻撃やめ! 対BM戦闘を復旧します」

艦長
「了解」

船務長がマイクを使って艦内に指示をする。

船務長
「攻撃やめ! 対BM戦闘用具収め!」

桝は、緊張から解放され、圧倒された様子でつぶやいた。


「いやあ…、すごいテンポ感でした」

弾道ミサイルの脅威から日本を守る「最強の盾」イージス艦は、今も警戒監視を続けている。

(*2023年6月18日放送『真相報道バンキシャ!』より)