【解説】日米首脳会談の成果と“ウラ側”は 晩さん会“幻の大谷招待案”もあった?
アメリカを国賓待遇で訪問している岸田首相は、バイデン大統領と首脳会談を行い、防衛・安全保障面での連携強化を確認しました。一方、日本時間の11日午前、アメリカのホワイトハウスでは大統領夫妻が主催する公式晩さん会が開かれ、岸田首相夫妻のほか、日米の多くの著名人らも出席しました。
日米首脳会談の成果と“ウラ側”について、3つのテーマを中心に、日本テレビ・政治部官邸キャップの平本典昭記者が解説します。
1. 晩さん会ゲスト…幻の大谷招待案
2. 岸田首相「笑顔」の裏で…苦しみ
3. 議会演説…「もしトラ」意識は?
鈴江奈々キャスター
「公式晩さん会ですが、“幻の大谷選手招待案”というのがあったんですか?」
日本テレビ・政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「ゲスト選定はかなり苦労したようで、ある政府関係者は『著名人にかたっぱしから声をかけたけど実現しなかった』と話しています。実は、複数の日米政府関係者によると、ドジャースの大谷翔平選手の招待も水面下で探っていたようなんです。
今年1月ごろに取材の中で、ある外務省関係者がドジャースの試合日程をみて、『ミネソタで昼に試合があるので、夜にプライベートジェットでワシントンDCに来れば間に合うかな』という話をしていました。
ただ、シーズン中ということもあり、調整が難しかったとみられ、最終的には実現にはいたりませんでした」
鈴江キャスター
「2つめの「笑顔の裏の苦しみ」ですが、どんな苦しみがあるのでしょうか?」
日本テレビ・政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「岸田首相が、日本ではあまり見せない“笑顔”があったということですけれども、まず、この“笑顔”の理由というのは、“国賓待遇”という、バイデン大統領による『異例のおもてなし』に対する“笑顔”だと思います。
今回、同行している、30年近く外交官経験のある外務省関係者に話を聞きましたら、『こんな最高級のおもてなしをアメリカで受けたのは、長い外交官人生でも最初で最後だろう」などと話していました。
ただ、この“笑顔”の裏には、岸田首相、バイデン大統領ともに苦しさがあります。バイデン大統領はトランプ氏という強敵がいて、大統領選に向けた視界は良好とは決して言えません。
岸田首相も“裏金問題”で求心力が急速に低下し、ある外務省幹部は『苦しい者同士、お互いの心の内がわかる“笑顔”だったのではないか』などと話していました」
鈴江キャスター
「お互い苦しいからこそ、今回の機会を挽回のチャンスに変えたいところだと思うんですが…」
鈴江キャスター
「3つめのポイント、『議会演説』では、岸田首相は『もしトラ』をどれくらい意識するんでしょうか?」
日本テレビ・政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「まず『議会演説』に対して岸田首相は、今回の訪米のなかで『一番大事なものだ』と気合が入っています。英語で読む練習も、かなり回数を重ねているそうなんです。
テーマは、『未来の世代に向けた日米関係』です。
11月に大統領選が控えるなかで、議会には民主党・共和党の両方の議員がいますから、岸田首相は敵を増やさないようにと、『日米同盟の強化は、党派を超えて重要』なんだと訴える考えです。
しかし、演説の中では『もしトラ』を意識した要素も組み込まれているようです。岸田首相周辺によると、アメリカ社会のキーワードとして、『内向き化への懸念』を示すそうです」
桐谷美玲キャスター
「トランプ氏は“アメリカファースト”の姿勢を示していますけど、トランプ氏が大統領になった場合を考えると、議会でどんな言葉を言うのか、難しいところのように思えるんですが、そこはいかがでしょうか?」
日本テレビ・政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「まさにご指摘のとおりで、これは『難しかった』という声を取材していて聞きます。トランプ氏や、いま“アメリカファースト”という言葉もありましたが、分断が進むことへの懸念を示しつつも、嫌われない『ギリギリのラインにした』と政府関係者は言っていました。
ある外務省関係者は『バイデン大統領を助けるためには、「もしトラ」への懸念を明確に示せばいいが、スタンスを明確にしすぎるのは、11月をにらんで得ではない』と、非常に苦しい本音を語っています。
分断・内向き化が進むアメリカ社会、そして国民に、どういった岸田首相のメッセージが受け止められるのか、注目です」