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【解説】日米首脳会談 成果と“ウラ側” 米・バイデン大統領側の狙いは?

2024年4月11日 20:11
【解説】日米首脳会談 成果と“ウラ側” 米・バイデン大統領側の狙いは?

日米の両首脳は公式晩さん会に先だち首脳会談を行い、防衛・安全保障面での連携強化を確認しました。バイデン大統領を取材してきたワシントン支局の山崎大輔支局長に、アメリカ目線で見た今回の首脳会談や晩さん会について聞きました。

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鈴江奈々キャスター
「ワシントン支局長の山崎大輔記者に3つのポイントで聞きます」

1.なぜ国賓待遇?
2.日本により大きな役割
3.対トランプ氏の意識

■岸田首相を「国賓待遇」と決めた背景は?

鈴江キャスター
「1つ目のポイント、日本の岸田首相を国賓待遇と決めた背景には、どんなことが考えられるのでしょうか?」

バイデン大統領側を取材 NNNワシントン支局長 山崎大輔記者
「まず言えるのは、バイデン大統領は防衛費の増額などに取り組んだ岸田首相を高く評価していることがあります」

「一方で、違う見方もあります。バイデン政権が国賓待遇で招待したのは岸田首相で5人目になります。日本政府関係者によると『すでに韓国、インド、オーストラリアを呼んでいることから、次はさすがに日本を呼ばないと、という側面もあった』と話しています」

「バイデン大統領との首脳会談は、通常なかなか日程が固まらないのですが、今回はかなり早い段階で決まりました。これに関して日本政府関係者も『日程発表があまりに早くて驚いた。これは日本との関係をアピールすることが大統領選で票になると考えたのではないか』と話しています」

■日本に頼りたい現状が… アメリカ側の狙いは?

鈴江キャスター
「2つ目のポイント『日本により大きな役割』、これはどういうことなんでしょうか」

山崎ワシントン支局長
「これはまさに首脳会談でのアメリカ側の狙いなんですが、ウクライナ戦争や中東情勢への対応で、アメリカだけでは中国に対抗できないという危機感があり、日本にこれまで以上に大きな役割を担ってもらいたいという狙いがアメリカにはあります」

「ウクライナ支援の長期化で、いまアメリカの防衛装備品の生産体制がひっ迫しています。首脳会談では、日米の共同生産体制の協力で合意しました。アメリカも日本に頼りたい現状があります」

「今回、日米首脳会談の日程が決まったあとに、アメリカは、初めて行われることになる日米フィリピンの3か国の首脳会談を日米首脳会談の翌日に設定しました」

「アメリカは、日本をはじめ韓国やオーストラリアなど複数の国で中国包囲網を築いていて、今後、日米を主軸に日本が果たす役割がより重要となってきます」

■大統領選を控え…「対トランプ氏の意識」は?

鈴江キャスター
「3つ目のポイント、大統領選を控えていますが『対トランプ氏の意識』はどうでしょうか?」

山崎ワシントン支局長
「首脳会談が終わったときにアメリカ政府高官を取材すると、今回は『全てがうまくいった』と言ったあとに『トランプ前大統領はこんなことはできないから、ただ見ているしかないだろう』と、かなり満足げに語りました。やはり大統領選のライバル、トランプ氏を強く意識していました」

「著名人が集まって注目された公式晩さん会も、大統領選の選挙対策の一環という見方もあります。出席者の1人は『民主党に寄付をしている人が複数、呼ばれていた』と話しています。日本政府関係者は『党の支持基盤である労働組合の幹部も招待されていて、完全に選挙対策だ』と指摘しています」