×

政権交代への道筋は…立憲民主党の苦悩

2021年1月3日 7:00
政権交代への道筋は…立憲民主党の苦悩

■選挙戦略のカギ(1)「選挙区調整」

2021年、選挙イヤー。野党第一党・立憲民主党の最大の目標は衆議院選挙での「躍進」。その道筋は描けているのか? 立憲民主党幹部はカギを握る2つのキーワードをあげた。それは「選挙区調整」と「看板政策」。

まず1つ目のカギ「選挙区調整」。立憲民主党は2020年、国民民主党と合流し150人をこえる「大きな塊」の野党第一党として新たなスタートを切った。

当初、9つの選挙区で立憲と国民の候補者が重なっていたが、調整は順調に進んでいて、立憲幹部は「予想以上に調整が進んだ」と成果を強調する。

野党にとって、与党との対決を優位に進めるためには、小選挙区の野党候補を1人に絞り「1対1の構図」をどれだけ作れるかが勝敗のカギを握る。

立憲は、次の選挙に向け新たな「野党共闘」を進めている。それは共産党・社民党などとの選挙協力だ。2020年の臨時国会で、共産党は首相指名選挙で立憲の枝野代表に投票。他党に投票したのは22年ぶりで、両党の接近を演出する形となった。各党との選挙区調整の中でも、立憲・共産の調整がどこまで進むかが最大の焦点となる。

また社民党は、2020年の党大会で、希望者は立憲への合流を認めることを決めた。立憲側は「国会議員、地方議員に加えて、社民党がもつ地方組織の協力を得られることは大きい」と期待を寄せている。

着実に進む野党共闘について、枝野代表は周辺に「これまでに体験したことのない力になる」と強調。別の立憲幹部は「野党の票が分散せずに集まれば、逆転できる選挙区は多くでてくる」と話すなど、議席数の上積みに自信をのぞかせている。

しかし、共産党との接近に、党内には冷ややかな見方もある。ある立憲の中堅議員は、「選挙に勝つためだったら、政策が違う共産党とも組むというのでは支持を得られない」「執行部は共産党に寄りすぎだ」という声も。枝野執行部が突き進む「野党共闘戦略」がどこまで有権者の支持を得られるかは不透明だ。

■選挙戦略のカギ(2)「看板政策」は?

もう1つのカギ「看板政策」。党の政策立案に関わる議員は、「立憲のシンボルになるような政策が、今は全くない」と嘆く。新しい党が誕生し「基本政策」のとりまとめを目指したが、「原発ゼロ」をめぐって意見の対立が表面化、とりまとめは2021年に先送りされた。

また、ある中堅議員は、「基本政策さえまとめられないと魅力的な選挙公約など到底作れない」と指摘する。2009年、当時の民主党が政権交代を実現した時には「子ども手当」「高速道路無料化」など有権者に訴える「看板政策」があった。次の選挙で魅力的な政策をどれだけ掲げられるのか? ある立憲幹部は「民主党の負のイメージがまだ残る中、それを払拭するためにはキラキラ光る新しい看板政策を出せるかがカギを握る」と語る。

■枝野代表が語る「政権交代」への道筋

2021年、枝野代表はどんな年にしたいと考えているのか? 2020年末の会見で枝野氏は、「新自由主義的な競争・自助・自己責任を強調しすぎた政治を終えていく年にしなければならない」とした上で、「総選挙で政権の選択肢となる強い決意をもって新しい年を迎えたい」と語った。

2021年、野党は1月18日から始まる通常国会で、「コロナ対応」「桜を見る会」「吉川元農水大臣への現金授受疑惑」で攻勢を強める構えだ。

菅政権の支持率は、新型コロナの感染拡大、GoToトラベルでの突然の「方針転換」、さらに「8人会食」問題などもあり急落傾向にある。

ある立憲国対幹部は、「菅内閣はジリ貧だ。通常国会でさらに支持率は下がり続ける」と指摘する。

一方、立憲にとっての課題も「支持率」だ。政党支持率が低空飛行から抜け出す兆しが見えてこない。NNNと読売新聞が12月26日と27日に行った世論調査で、立憲の支持率は3%と、自民党の38%に大きく離されている。党内からも「敵のエラーを待つだけじゃ、自分たちの支持率は回復しない」との声があがる。

「次の衆院選で政権交代に向けた足がかりを作れる」と周辺に語っている枝野代表。党躍進に向けて目に見える戦略を描くことができるか。2021年は正念場となる。