ネットの通信守る“絶対に解けない暗号” 研究進む玉川大学「中国はかなりお金かけている…今のペースでは追いつかれる可能性も」
国会で審議されている経済安全保障推進法案。この中で支援が必要とされている重要技術の1つが「量子暗号」です。世界の中でも日本の玉川大学で研究が進む“絶対解けない”暗号と、その課題を取材しました。
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インターネットの世界で欠かせないものが、通信を守る“暗号技術"です。しかし、現在使われている暗号は、開発が進む“量子コンピューター"が実用化されると、解読されてしまう恐れがあります。そのため、世界各国で進められているのが、絶対に解けないことを目標とする暗号の研究です。
玉川大学の研究所で、その試作品が運ばれてきました。
量子情報科学研究所・二見史生主任教授
「これはY-00光通信量子暗号といいます」
Y-00は光の最小単位=量子を使って盗聴を防ぐ装置で、送信側と受信側、双方にセットすると、送信側でデータを暗号化、受信側で復元します。
暗号化したデータはどのようなものなのでしょうか。カメラで撮影した映像データをY-00で暗号化し、一般の通信で使われている光ケーブルで受信側に送ります。受信側で復元すると、問題なく映像を見ることができます。
一方、暗号化されたデータをケーブルから“盗聴"すると、特殊な器具でケーブルから盗聴しても画面には何も映りません。暗号化されたデータは量子のノイズにつつまれた意味のない信号となるので、Y-00がない限り復元できないのです。
量子情報科学研究所・相馬正宜所長
「絶対解けないもの(暗号)だし、量子コンピューターを使っても解けない」
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Y-00は量子暗号のいくつかある方式の一つで、世界の中でも玉川大学の研究は進んでいます。
しかし──
量子情報科学研究所・相馬正宜所長
「中国はかなりお金をかけてやっているので、今のペースでやっていくと、もしかしたら追いつかれる可能性もある」
主導権をどの国が握るのか、競争は続いています。