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急拡大の「NFT」とは 印鑑やアートにも

2021年8月22日 12:38
急拡大の「NFT」とは 印鑑やアートにも

今年に入り「NFT」と呼ばれる技術への関心が高まっています。この技術を使って、デジタルアートが何十億という高額で取引されるケースが相次いだためです。「実物」のない「データ」に大きな価値を与えた「NFT」とは?

■日本初!シヤチハタが「NFT」活用の電子印鑑を開発

今月18日、ハンコの老舗「シヤチハタ」は、日本で初めて「NFT」を活用した電子印鑑を共同開発すると発表しました。コロナ禍により電子契約の需要が高まる中、偽造リスクがないとされる新たな電子印鑑「NFT印鑑」でサービスの拡大を図る狙いです。

■「NFT」とは

実は今、この「NFT」を活用した商取引が急速に拡大しています。いったいどういうものなのでしょうか?

「NFT(=Non-Fungible Token)」とは、日本語に直訳すると「代替が不可能なしるし」のことです。デジタルデータにそれぞれ固有のIDや情報を持たせることで、そのデータが唯一無二であることを証明することが可能というものです。

大きな注目を浴びたのは今年3月、あるオークションでのことです。ツイッターの共同創業者が投稿した“世界初”のつぶやきのデジタルデータに、およそ3億円の値段がついたのです。実物ではなくデータの状態のものに価値をつけたのが、新たな認証技術「NFT」です。

デジタルデータは簡単にコピーができるため、「世界初のつぶやき」もどれが“オリジナル”なのかを判断することはほとんど不可能でした。そこに暗号資産に使われる「ブロックチェーン」といわれる技術を使って、「NFT」をつけることで、オリジナルのつぶやきであることが証明できるようになったのです。

■「デジタルアート」が高額取引

実物がないデジタルデータでも、作者や所有者の情報などを示す、いわば「証明書」の役割を「NFT」が可能としたことで、さまざまな世界で変化が起きました。その一つがデジタルアートです。

今年3月、あるオークションで、アメリカ人アーティストによる、自身の作品5000点をコラージュしたデジタルアート作品が、なんと約75億円という高額で落札されました。

また、ゲーム業界でもオンラインゲームのキャラクターやアイテムなどを「NFT」付きのコンテンツとして売買する動きが広がっているといいます。

さらには、スポーツのファンマーケティングにも「NFT」が広がっています。アメリカのNBAが発行するデジタルトレーディングカードに、数百万円から数千万円の値段がついたりしているのです。

また、日本のプロバスケットボールクラブ「川崎ブレイブサンダース」は「NFT」をつけた選手のデジタルカードをファンに提供することで、観戦を楽しんでもらえる新たなサービスを本格的に始めるということです。

■「NFT」にビジネスチャンス

こうした中、新たなビジネスチャンスとして「NFT」の事業に参入する企業が相次いでいます。暗号資産などを扱うコインチェックは「NFT」のついたデジタルコンテンツを売買できるサービス「コインチェックNFT」を今年3月にスタートさせました。暗号資産の口座を開設すれば、スポーツやゲームなどの分野の「NFT」付きコンテンツを簡単に売買できるということです。

そのほか、Zホールディングス傘下の「LINE」や、IT大手のGMOインターネットなども「NFT」事業への参入を表明していて競争は激化する気配です。

■ルール作りや法整備が必要

今後、市場の拡大が見込まれる「NFT」ですが、利用範囲が広く所有権や知的財産など明確なルールができていません。ユーザー保護やセキュリティーの観点からも、政府による法整備や、事業者によるルール作りが求められます。

写真提供:シヤチハタ NFT印鑑イメージ

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