SNS発信を本格化 総裁選3候補の戦略は
17日に告示される自民党総裁選。立候補を表明した各候補はすでにSNSで情報発信を本格化、選挙には欠かせなくなった「ネット上での活動」を積極的に展開しています。
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岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏は、それぞれのスタイルでSNS情報発信を行い、フォロワー数を増やしています。各候補のSNS展開を比較しました。
■有権者の声を直接聞く「#岸田BOX」
岸田氏は以前からツイッターやフェイスブック、インスタグラムにLINEなど、SNSを幅広く利用してきましたが、新たにツイッターでフォロワーが「#(ハッシュタグ)岸田BOX」をつけて質問などを投稿すると、自ら動画やツイッターで回答する試みを始めました。
岸田氏は12日深夜、ツイッターなどを通じて「8680件を超えるユーザーからの意見が寄せられた」と投稿。ネットユーザーの一定の関心を集めたとみられます。
ツイッターのフォロワー数も、9月9日以降は1日あたり1000人を超すペースで増加していて、14日午後5時時点では、およそ5万ユーザーとなっています。
岸田氏は「国民に発信する対話を大事にしたい」との姿勢を示していて、SNS発信を通じて「有権者との近さ」をアピールする狙いもあるとみられます。
■ツイッター復活の高市氏 1日でフォロワー10万人増
高市氏は、ブログやフェイスブックの投稿頻度は少なくはなかったものの、ツイッターアカウントには、数年前のつぶやきが1件残されているだけで、SNSを使った情報発信は限定的でした。
総裁選への立候補を明らかにした後、9日時点で約5000だったフォロワー数は11日までに9000を超え、ツイッターでの情報発信の再開を表明したところ、さらに急伸。11日から12日にかけて約10万のフォロワーを一気に獲得しました。
フェイスブックやインスタグラムのフォロワー数も伸びていますが、ツイッターの新規フォロワー数は突出しています。
ツイッターについて高市氏は総務大臣だった去年7月、会見で「過去にツイッターを利用しようと楽しみにアカウントを設定してすぐにアカウントを乗っ取られ、私が発信していない内容が発信された経験があるので、積極的に活用しているわけではありません」と明かしています。
一方で「ツイッターをはじめとするSNSは、国民生活に密着したコミュニケーションツールなので、利用者の利益を確保することは何より重要だ」との姿勢を示しています。
高市氏の関係者は取材に対し、1日で約10万フォロワーが増えたことについて「陣営としてもびっくりしている」と明かしました。ネット上の保守層に圧倒的に支持されているのではないかと分析していて、今後は毎日、1~2回のペースでツイートしていく予定だとしています。
■フォロワー数ダントツの河野氏 総裁選専用アカウントも
河野氏は、かねてSNSを駆使した情報発信で知られてきました。ツイッターのフォロワー数は、9月14日午後5時時点で約241.4万で、岸田氏の約5万、高市氏の約14.7万を大きく上回っています。
そんな中、河野氏は新たに「総裁選専用」のツイッターアカウントをスタートさせ、14日午後5時時点で約15.1万のフォロワーを獲得しています。
河野氏の関係者によると、今回開設されたツイッターアカウントの運営には、専門性の高い、若い外部スタッフたちも新たに加わったということです。SNSを通じて、若者に自身の政策を届けたいという狙いがあるとみられます。
■ネット検索数では高市氏…河野氏、岸田氏が猛追
SNSのフォロワー数では河野氏が圧倒する一方、ネット上での検索数では別の傾向が見られました。
「グーグルトレンド」で3候補の検索数を調べると、7月はワクチン担当相でもある河野氏の名前が最も多く検索され、岸田氏の17倍、高市氏の26倍でした。8月は高市氏の検索数が最も多く、次いで岸田氏、河野氏の順となりました。9月も引き続き高市氏が最多で、14日午後5時現在では高市氏、河野氏、岸田氏の順番となっています。
■総裁選後の衆院選も視野に
総裁選で勝利した候補者が次に控える衆議院選挙で自民党の顔となることから、各候補によるSNS展開の行方が注目されます。