【解説】都知事選、国政への影響…自民党総裁選や石丸氏の今後は?
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●自民「裏金逆風」は収まった?
●どう見る?石丸氏「次の動き」
●自民総裁選へのインパクトは?
森圭介キャスター
「まずは、自民党への裏金の逆風は収まったとみていますか?」
政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「取材をすると、多くの自民党議員は『逆風は収まってない』とみています。その理由として与野党の議員が注目しているのが、都知事選と同時に行われた都議補選の結果です」
「自民党は8つの選挙区に候補者を立てましたが、6つの選挙区で負けました。この結果に、都議補選を最前線で戦っていた自民党のベテラン議員は『自民党への不信感は底なしだ』と言っています。逆風は収まっていないとの危機感をあらわにしています」
森キャスター
「では、2つ目の疑問。都知事選で2位となった石丸氏の『今後の動き』についてはどういった見方が出ていますか?」
平本記者
「まず、石丸氏の評価としては与野党の議員から『既存政党への嫌悪感を持つ無党派層の受け皿になった』と評価する声が多いです」
「自民党もダメ、立憲など野党もダメという人の新たな受け皿になった…と。今回165万もの票を獲得し、この勢いで国政に出てくるのでは、との警戒も出ています。ある自民党ベテラン議員は『新党をつくるのでは』と気にしている様子でした」
「一方で、石丸氏の政治姿勢には厳しい見方も出ています。岸田首相の選挙区である『広島1区から出馬する』可能性に言及しましたが、ある政府関係者は『都知事選が終わったばかりで、広島の衆院選に出ると言ったのは、都民も広島県民も快く思わない人が多いだろう』と。別の関係者は『投票してくれた人の1票の重みをわかっていない』と指摘しています。立憲のベテラン議員は『若いトランプのようだ』とも評しています」
「与野党の国会議員は『石丸旋風』が起きた背景の分析を急ぐとともに、今後の動きを警戒しています。一方で、石丸氏が国政に進出したとしても、実現可能な政策の立案力、さらには党内調整なども含めた実行力があるのか、冷静に見ているというのが取材をしていて実情だと感じます」
森キャスター
「では、3つ目の疑問。自民党総裁選へのインパクトはどうみていますか?」
平本記者
「影響はあると思います。ある自民党幹部は『国民は既存政党では政治は変わらないと思っている』と。つまり自民党の総裁選で、自民党は生まれ変わったのだという『刷新感』が出せるかが、今まで以上により問われるとみています」
「具体的な声として、あるベテラン議員は『リーダーの交代は待ったなし』と。別のベテラン議員は『古い自民党をぶっ壊す総裁を選ばなければ、政権交代になってしまう』と危機感を示しています。顔をかえることで刷新感を出すという狙いです」
「一方で、党内では『表紙だけかえる手法は有権者に見透かされる』との声もあります。自民党が変わったなと思ってもらえる総裁選のプロセスをしっかり見せることがより大事だという意見です」
「石丸氏が選挙戦でSNS戦略を駆使したことを踏まえて、ある自民党の若手議員は『自民党が“新しいリーダー像”=コンテンツを、これまでにない“プラットホーム”=伝え方でアピールしなくてはいけない』と指摘が出ています」
「都知事選という選挙で示された有権者の意思を、自民党がどう受け止めて次のリーダー選びに生かすことができるのか。自民党にとって信頼回復に向けた、残された数少ないチャンスになるかもしれません」