2024年版外交青書 中国と「戦略的互恵関係」5年ぶりに明記
日本の外交の取り組みについてまとめた外交青書が閣議で報告され、日中関係について「戦略的互恵関係」を推進すると、5年ぶりに明記しました。
2024年版の外交青書では、中国の対外的な姿勢や軍事動向を「日本と国際社会の深刻な懸念事項、これまでにない最大の戦略的な挑戦であり、日本の総合的な国力と同盟国・同志国などとの連携により対応すべきもの」と指摘しています。一方で、日中間では2023年11月に行われた日中首脳会談で「戦略的互恵関係を包括的に推進することを再確認した」として、「戦略的互恵関係」という表現を5年ぶりに明記しました。
韓国については、7回にわたる日韓首脳会談の実施など、2023年を「日韓関係が大きく動いた一年」として、韓国を「パートナーとして協力していくべき重要な隣国」と位置づけています。そのうえで、「インド太平洋の厳しい安全保障環境を踏まえれば、両国の緊密な協力が今ほど必要とされる時はない」と強調しています。
また、北朝鮮が2023年に18回、少なくとも25発の弾道ミサイルの発射などを行ったことについては「断じて容認できない」とし、「核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めていく」と非難しました。拉致問題を「ひとときもゆるがせにできない人道問題」として、「一日も早い帰国を実現するため、全力で果断に取り組む」と記しています。
ロシアによるウクライナ侵略と、イスラエル・パレスチナ情勢をめぐっては、「日本を含む世界各地域の安定と繁栄に影響をもたらす問題」と指摘しています。
また、2024年には、アメリカ大統領選など重要な選挙が控えていることを踏まえ、「各国の内政と国際関係が相互に影響を及ぼすという観点からも国際情勢は重要な局面を迎える」とも記しています。
そのうえで、今後の日本外交の展望を、「人間の尊厳という最も根源的な価値を中心に据え、世界を分断や対立ではなく協調に導く」としています。