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米大統領選 “トランプ再来”で世界激変か……「ノーベル平和賞」狙う? バイデン氏の高齢不安で秘策は【#みんなのギモン】

2024年3月8日 10:33
米大統領選 “トランプ再来”で世界激変か……「ノーベル平和賞」狙う? バイデン氏の高齢不安で秘策は【#みんなのギモン】
アメリカ大統領選の候補者選びで、トランプ前大統領の共和党の指名獲得が確実となりました。トランプ氏が返り咲いた場合、経済や安全保障、環境などの面で日本にも大きな影響が及びそうです。高齢のバイデン大統領や民主党側はどう迎え撃つのでしょうか。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「“もしトラ”現実味…日本への影響は?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●経済・安保・環境 “もしトラ”で激変?
●バイデン氏に不安? 民主党に秘策は…

■共和党の唯一の対抗馬が撤退を表明

小林史・日本テレビ解説委員
「『もし、トランプ氏がもう一度大統領になったら』。SNSなど一部で流行していたこの言葉が、にわかに現実味を帯びてきました」

「アメリカ大統領選の共和党候補者選びは、トランプ氏の唯一の対抗馬として残っていたヘイリー元国連大使が撤退を表明。トランプ氏は『スーパーチューズデー』を14勝1敗と圧勝し、共和党の指名獲得が確実な情勢となりました」

「6日、トランプ氏は『バイデンはアメリカ史上最悪の大統領だ。11月5日(本選挙)は我が国の歴史上、最も重要な1日となるだろう』と語りました」

■戦いの構図が固まる中…“異変”が?

「戦いの焦点は民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領の『新旧大統領対決』という構図になりますが、今回のトランプ氏にちょっとした異変があることにお気づきでしょうか?」

「8年前の2016年にトランプ旋風を巻き起こした時には、娘のイバンカさんと妻のメラニアさんが両脇を固めていました。その姿が、最近の選挙戦では見当たりません」

鈴江奈々アナウンサー
「確かに、トランプ氏が大統領に就任した時にはファミリーがぞろぞろぞろっと壇上に上がってきて、トランプ氏と言えばあのファミリーというイメージが強いですし、特にイバンカさんは大統領補佐官として来日もしているので、随分大きな違いとして映りますね」

小林解説委員
「華やかでしたね」

■「政治の世界の外で支える」…娘の姿は

小林解説委員
「娘のイバンカさんがどこにいたかというと、ほぼ地球の反対側のインドです。ご本人がインスタグラムで上げた写真によると、父のトランプ氏がスーパーチューズデーで戦っていた頃、インドで行われたアジア一の大富豪という一家の結婚式に出席していたようです」

「イバンカさんは『今後は政治の世界の外で父を支える』と表明していて、今回の選挙戦からは既に離れています。トランプ氏も、それをよしとしているようです」

■市場関係者やアナリストはどう見る?

小林解説委員
「もしトランプ氏が大統領に返り咲いた場合、日本や世界にどんな変化が起こるのでしょうか? 経済と外交・安保、環境といった3つのポイントから、最新の予測を見てみたいと思います」

「まず経済で気になるのは、史上最高値を更新してきた日本の株価に与える影響です」

「市場関係者からは、トランプ氏のアメリカファーストは円高や株安につながる要素で、アメリカの貿易を守るために関税を引き上げるなどすれば、好調な日本株に水を差す可能性もあるといった指摘が出ています」

「アナリストであるインベストラストの福永博之さんは、インフレつまりアメリカの物価高が進むことも懸念しています。そもそもアメリカファーストになったところで景気が上向くことに直結するかは不透明だと、懐疑的な見方をしています」

市來玲奈アナウンサー
「アメリカの政策が変わったタイミングで、日本の景気にも影響が出ると思うので、そうなると懸念事項がこの先どんどん増えていきそうですよね」

■外交や安全保障へも大きな影響か

小林解説委員
「そういう見方がありますね。そして、外交や安全保障にも大きな影響が出そうです。アメリカ政治に詳しい明海大学の小谷哲男教授によると、トランプ氏が2期目の大統領になった暁には、ノーベル平和賞を狙っているということです」

忽滑谷こころアナウンサー
「そんな簡単に狙えるものじゃないですよね…」

■「戦争を24時間以内に終わらせる」

小林解説委員
「トランプ氏は『自分が大統領になったらウクライナの戦争を24時間以内に終わらせる』と公言しています。つまり、自らが仲介に乗り出して停戦を実現させる、という意欲を示しています」

忽滑谷アナウンサー
「停戦と言いますけど、簡単に終わらせられないからここまで長引いているわけで、その辺りはトランプ氏はどう考えているんですかね?」

小林解説委員
「バイデン氏のように無償でウクライナに武器を提供するのではなく、あくまでもローン、将来的に利子をつけて返してもらう前提で強力な武器を供与し、ウクライナの戦況を少しでも有利にした上でプーチン大統領と自ら交渉して停戦に持ち込むのが狙いといいます」

「それがうまくいけば、ノーベル平和賞も狙えると思っているのではないかということです」

辻岡義堂アナウンサー
「当然戦争の終結は願っていますが、ノーベル平和賞を狙うというのは、順番が逆になってほしくないなとは思いますね」

小林解説委員
「賞狙いでやってほしくないですよね。『トランプ氏が目指しているのは世界から手を引くことではないか』とよく言われていますが、実際にはアメリカの負担を減らすということが目的なんですね」

「アメリカ人の血税を使って外国を守ることはもうしない。同盟国に対しても、自分の身は自分で守れということで、日本にもアメリカに頼りすぎず、自国を防衛できるように防衛費を増やせと言ってくる可能性は十分にあり得るとみられています」

■環境面で…時代が逆戻りの可能性も

小林解説委員
「さらに環境面では、トランプ氏は『温暖化対策軽視』『化石燃料推進』『EV(電気自動車)嫌い』という政策を掲げています」

「みずほリサーチ&テクノロジーズの調査によると、これはガソリン車やハイブリッド車に強みを持つ日本の自動車企業にとっては追い風になるという見方がある一方で、脱炭素という目標達成は大きく出遅れてしまう、という指摘が出ています」

辻岡アナウンサー
「時代が逆戻りする可能性がありますが、“もしトラ”が実現する可能性はどうなのでしょうか?」

■世論調査ではトランプ氏がややリード

小林解説委員
「ここからは『バイデン氏に不安? 民主党に秘策は…』のポイントについて考えます。現在、世論調査(YouGov、3月3日~5日)の支持率の平均ではトランプ氏(44%)がバイデン氏(42%)をわずかに上回っています」

「一部のアメリカメディアによると、民主党内では『バイデン氏で戦えるのか』と、高齢への不安から他の候補に差し替える動き、つまりプランBを模索する動きも出ています」

市來アナウンサー
「今からということですよね。その有力候補が実際に挙がってきているということですか?」

■チャンスを狙う? 名前の挙がる政治家

小林解説委員
「そうしたチャンスを虎視眈々と狙っている人はいると言われています。例えば、ノースカロライナ州のクーパー知事(66)や、ケンタッキー州のベシア知事(46)など、政治の世界で実績を積んできた知事らの名前が挙がっています」

「ただ小谷教授によると、実際は現職のバイデン氏が自ら撤退すると言わない限り、他の候補は手をなかなか挙げづらいため、万が一健康や体調の問題などで撤退を余儀なくされた場合の頭の体操としてのプランBがささやかれているのではないか、ということです」

鈴江アナウンサー
「日本にいるアメリカ人の方に大統領選についてうかがったら、『私たちには2つのチョイスしかないんだ。バッドチョイス、またはバッドチョイスだ』と、ため息をついていたんですよね」

「日本にとってもどういう結果になるかで本当に大きな影響を受けますから、あらゆるリスクを想定した準備というのも求められるんだなと感じました」

小林解説委員
「大統領選挙の本選は11月5日です。“もしトラ”が現実となるのか、あるいはバイデン氏が意地を見せるのか。日本にとっても見逃せない戦いが続きます」

(2024年3月7日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html