戦車も投入、現役幹部らが高校生と座談会に…“若手不足”深刻な自衛隊、必死のリクルートを取材
少子高齢化を背景に、自衛隊もいま、深刻な人手不足となっています。戦車や装甲車も投入、力の入った様々な装備展示に現役隊員と学生の座談会も開く、必死の採用活動を取材しました。
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今年7月、北海道・千歳市にある自衛隊の東千歳駐屯地で戦車や装甲車に乗っていたのは、夏休み中の若者たちです。
隊員
「よし行こう。前進用意、前へ」
陸上自衛隊が開催した自衛隊体験フェスタ「ノーザンスピリット’23」 に、北海道各地から高校生などおよそ240人が参加しました。
高校2年生
「すごく小刻みにめっちゃ揺れるんですよ。楽しかったです」
このイベントでは様々な装備も展示。隊員たちが説明し質問に答えます。その狙いは、若者たちのリクルートです。
札幌地方協力本部・関根大仁広報企画室長
「自衛隊を職業の一つとして考えていただきたい」
現在、自衛官の定員はおよそ24万7000人(防衛白書より)ですが、階級「士」の充足率は75.6%と、若い世代の隊員は定員の8割に満たない人手不足の状況が続いています。
札幌地方協力本部・関根大仁広報企画室長
「自衛官に対する国民の信頼度はありがたいことに高い水準を保っているんですけど、職業として選択するとなると、そこに大きなギャップがある」
少しでも多くの若者に入隊してもらおうと、展示にも力が入ります。
隊員
「自衛隊で待っていますので、一緒に仕事をしましょう」「待っています!」
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イベントに参加した高校生たちに、参加した理由を聞きました。
──自衛隊に入ることを考えて来ましたか?
「考えていますね 」「厳しい訓練をしてこそ、達成感があるのかなと」
参加者の多くは自衛隊で働くことに興味を持っていました。
高校3年生
「僕(陸自の)普通科にいきたいんですよね」「ナンバー1になりたいです、レンジャーにいって」
高校2年生
「僕(陸自の)普通科の狙撃手をやりたくて」
高校2年生
「海自を選んで英語の勉強もしたいです」
しかし学校では、自衛隊への就職を考える人は多くないといいます。
高校2年生
「自衛隊のなかでパワハラいろいろあると思うし、それでいないんじゃないかなって」「あと縛られるっていう偏見、気持ちを(若者は)持っている 」
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こうしたイメージを払拭しようと、現役隊員と学生の座談会も開かれました。
高校1年生
「自衛隊をやっていて、つらいことはあるんでしょうか」
戦車部隊の小隊長
「訓練の中では確かにきつい、苦しいこと、ないとは言い切れません。でも後々、良い思い出になることの方が多いなと感じています」
高校3年生
「自衛官をされていて一番楽しい瞬間を聞きたいです」
通信部隊の幹部
「国民という皆様から感謝をしてもらうという場の体験、楽しいって感じるんですよね。ただ一番は、休みがしっかりあっていろんな所に旅行に行ける、これ私が一番楽しいことです」
予算を増やし防衛力強化に舵を切った岸田政権。その礎となる人材確保の現場では、地道な努力が続いています。