【解説】新年度予算案巡る与野党攻防激化…石破政権が直面する“3つの壁”越えるには?政治ジャーナリスト青山氏が詳しく
【スタジオ解説】
(津川 祥吾 アンカー)
今、国会では、参議院で来年度予算の審議中、もう3月27日ですが、来年度予算、審議も最終盤で、今、詰めているところにあって、「商品券問題」とか出てきて、国会がもめていますが、審議中ですが…こういう言い方をすると、参議院の方々には怒られるのですが、青山さん、そうは言っても、衆議院では一回通過していますので、来年度予算が成立するということは間違いないですね。
(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
はい、ただ、このまま自然成立になってしまうと、高額療養費制度の全面凍結が盛り込まれていないものになってしまうので、これはやはり参議院の“意地”としても、その自然成立の前に新しい予算を成立させたいとのことなので、これ…年度内かどうかというのは…31日までに通るかどうかということなので、まだギリギリの調整なのですが、いずれにしても、ここから大きくこぼれずに、成立するのは、これは間違いないと言っていいと思います。
(徳増 ないる キャスター)
青山さんには、ことし初めに、少数与党となった石破政権には“3つの壁”があるというお話をうかがいました。その“3つの壁”を改めてみてみますと、一つ目が「来年度予算」、そして、その後、国会の会期末に向けて「内閣不信任案」が出るかどうか、そして夏には、「都議選・参院選」と選挙が控えています。青山さん、まず、この最初の壁はクリアしたと言っていいのでしょうか?
(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
そうですね、「予算案」は、たぶん成立してくると思うので、次は、この「内閣不信任案」に向けて、どのような攻防になるかということなんです。「予算案」が成立すると、この後は、企業団体献金の見直しをどうするか、年金制度改革の法案を出してくるのかどうか…それと、「商品券の問題」が起こりました。これ…政治倫理審査会などを開いて石破さんを呼ぶと…野党が追及していますけれども、こういった問題が、今後、拡大していくのかどうか、こういった問題が、まだ、次々と6月の会期末に向けてあるのですね。こんな中で、やはり一番大事なのは世論の動向なのです。先ほどご紹介いただいたように、日本テレビ・NNN世論調査と前回比8ポイントも差がある。8ポイントというのはものすごいインパクトなのです。さらに、他社ですけれど、例えば朝日新聞などは14ポイントも前月比で下がっているんです。これは、やはり「商品券問題」というのが大きなインパクトがあったというのは間違いないと思います。ただ、これは、その時が“最大瞬間風速”で一番悪くて少し持ち直すのか、それともジリジリとこのまま下がっていくのか?下がっていけばいくほど…野党としては「不信任案」を「参議院選挙」の前に突きつけないといけないという流れになっていきますし、石破さんは追い込まれていく可能性は十分あると思います。
(津川 祥吾 アンカー)
次の「内閣不信任決議」なのですけれども、これは、今の流れから行くと、これはもう『やりそう』ということで間違いないでしょうか?
(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
通常ですね、これまで「参議院選挙」の前に「内閣不信任案」を出さなかったケースというのが、「選挙制度改革」が終わってから1回しかないのです。それは安倍さんが…第2次政権が生まれた直後だっただけで…、基本的に、やはり選挙前ですから対決姿勢を示すためにも出すのです。今回、もし出さなかったとすれば、『なぜ出さなかったのか』ということを、立憲民主党は逆に説明しなければいけない状況なので、基本的には出してくると思うのです。ただ、出した時に、これがまず…『提出する・しない』かは、たぶん出てくるだろう…『通る・通らない』というところが一番大事なのです。野党が全部まとまれば、今、少数与党なので成立する…ということになる。ただ、日本維新の会は、今回、予算は、政府、自民、公明党、いっしょになって「賛成」にまわった、維新が…では「内閣不信任案」では態度を変えて、「内閣不信任案」に「賛成」するかどうかというのは大きなポイントになってくると思います。そして、この「内閣不信任案」が可決した場合、三番目に「解散?総辞職?」石破さんは選ばなければいけないんです。今、「内閣不信任案」は、6月半ばの会期末に…ということが想定されていますので、もし、左側の「解散」を石破さんが選んだ場合には、7月の「参議院選挙」と同日、「衆参ダブル選挙」になる可能性もあるのです。私、石破さんに直接取材しても、「解散」するという可能性は否定しない。これ…「解散」するとなると、一気に、「衆参」、一気に選挙になりますから、自民党にとっては、これは大騒ぎというか、大変リスクも伴うのだけれども、石破さんとしては、その可能性は「否定できない」と言っていますので、『どちらか分からない』というのが今の現状です。
(津川 祥吾 アンカー)
野党側としては、まさに「衆参同日(選挙)」も含めてですね、そこで選挙で一気に国政を動かしたいというふうに狙ってくる…そういった「内閣不信任案」を狙ってくると思うのですけれども、一方で、自民党内は、そのままやっていくわけにはいかないので、石破さんを替えなければいけない…いわゆる「石破おろし」が起こるのかというところなのですが、その辺は、今、空気はどうですか?
(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
今の段階は、まだ、ちょっと「様子見」なのです。自分が参議院選挙で戦う(ことになる)…参議院議員の中では、もう、すでに「石破さん替わってほしい、替わってほしい」という声は出ているのですが、まだ、自民党内では、まず、支持率が30%台程度ですので、そこまで悪くない…、かつて24年前、森喜朗さんが、参議院選挙の前に退陣した時は10%くらいでしたから、そこまでではないので、ちょっと「様子見」の段階。ただ、「不信任案」が可決しそうになるということになると…「(衆参)ダブル選挙」かもしれない…ということが出てくると、自民党内で、「石破さんで本当に戦うのか」という“恐怖感”みたいなものが高まってくると…「では“羽交い絞め”にしようか」という話も出てくるかもしれない。ただ、一方で、では「誰に替えるのか」というところで、今、“旗振り役”となるような人がいないのも事実なのです。この辺りは、自民党内、なかなか難しいかじ取りというか、「世論も見ながら…」ということになっていくのではないかと思います。