「自民党への怒りが政治への怒りとなり、政治への諦めへと繋がった」専門家が宮崎の衆院選を分析
今回の衆議院議員選挙は石破政権の発足後、最短の日程で行われ、自民党の政治資金問題や経済政策が争点になりました。
宮崎1区の結果:立憲民主党・渡辺創氏が当選
宮崎1区では、立憲民主党の渡辺創氏が前回初当選時の票差を大きく上回り、自民党の武井俊介氏に3万票差をつけて再選しました。
渡辺氏は「政治家が果たしていくべき役割とは何かということを有権者の皆さんが問うた結果」と受け止め、与えられた新たな任期で真剣に役割を果たすことを誓いました。
宮崎1区で野党候補が連続当選したのは小選挙区制の導入以来初めてのことです。
落選した武井氏は比例復活もならず、宮崎1区の自民党候補者が議席を獲得することができなかったのは、小選挙区制の導入以来初めてとなります。
宮崎2区3区の結果:自由・江藤拓氏と古川禎久氏が当選
宮崎2区では、自由民主党の江藤拓氏が国民民主党の長友慎治氏に勝利し、8度目の当選を果たしました。
江藤氏は「苦しい選挙を勝ち抜いたからこそ、支援者の皆様の温かい気持ちを一生忘れない」と、感謝の言葉を述べ「故郷のため、日本のために命を燃やし尽くして働く」と誓いの言葉を述べました。
強力な地盤を持つ江藤氏を相手に1万2千票あまりの差で破れた長友氏は、九州比例ブロックで復活当選しました。
長友氏は「自民党が逆風の中、江藤氏に負けたことは、私にとって大きな敗北。江藤候補が築き上げてきた宮崎2区の地盤の強さに負けた」と述べました。
宮崎3区は、自由民主党の古川禎久氏が約75%の票を集め8回連続の当選を果たしました。
古川氏は「自民党が徹底して反省をして、自己改革をするための役割を担いたい」と決意を表明しました。
全国の議席数は、自民・公明両党で獲得した議席数は215議席と過半数を割り、立憲民主党や国民民主党が大きく議席数を伸ばす結果に。
与党が過半数を割るのは15年ぶりとなりました。
専門家の意見: 無党派層と自由民主党 支持層の動向
宮崎公立大学の有馬晋作名誉教授は、「これまでは首相の顔をかえることで支持率が回復することが多かったが、自民党の支持率低下が選挙の結果に大きく影響し、これまでの自民党の必勝パターンが通用しなかった」と分析しています。
全国的な自民党に対する批判と、自民党候補者に対する批判票として野党側に流れたことも議席数を減らした要因だと分析しました。
UMKが行った出口調査によると、宮崎1区の自民党支持層のうち、自民候補の武井氏に投票したのは48.4%に留まり、33%が立憲民主党の渡辺氏に投票。
また、無党派層の52.4%が渡辺氏に投票したと答えました。
また、宮崎2区でも無党派層の56.6%が長友氏を支持するなど、自由民主党への不信に加え、渡辺氏と長友氏が3年間で浸透し、無党派層の支持につながったことも要因だと、有馬教授は話します。
投票率の低さ 政治への諦めと今後の展開
今回の宮崎県内の投票率は50.61%で、前回を下回って過去3番目に低い投票率になりました。
有馬教授は、「自民党への怒りが政治への怒りとなり、政治への諦めへと繋がった。自民党が負けても次の政党への希望が見えないことが投票に足が向かなかったのでは」と話します。
その一方、「野党の声が大きくなることで、国会で本来あるべき議論が期待できる」とし、各政党が有権者に約束した公約をいかに実現しようとしているのかを見守っていくべきだと話します。
来年の夏には参議院選挙が控えています。
それぞれがどのように動き、宮崎を代表する国会議員が今後どのように公約を実現していくのか、私たち有権者も注目し、関心を持っていくことが重要です。