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体育館で勉強する専門学校生も 続く集団避難…受験生“高校は輪島に”  能登半島地震から2か月

2024年3月1日 20:40
体育館で勉強する専門学校生も 続く集団避難…受験生“高校は輪島に”  能登半島地震から2か月
元日におそった能登半島地震から3月1日で2か月がたちました。石川県では、今も1万1000人を超える被災者が避難生活を余儀なくされています。少しずつ取り戻しつつある日常。「news every.」の藤井貴彦キャスターが現地で取材をしました。

   ◇

藤井貴彦キャスター
「私は今、石川県輪島市にきています。元日の能登半島地震から3月1日で2か月となりました。私の後ろには、被災者を受け入れる仮設住宅が立ち並んでいます。ただ、生活再建への拠点ともなる仮設住宅に入居できている人は高齢者などの一部で、いまだに石川県では1万1000人以上の避難者がいるのが現実です」
「また、輪島市では十分な学習環境が整っていないことなどから、中学生たちの集団避難が今も続いているということです。長引く避難所生活と離ればなれの生活を送っている家族の思いを取材しました」

大規模火災があった輪島市の朝市通りでは、いまだに火災直後のような光景が残ります。この通りで出会った横道正栄さん(80代)に話を聞きました。

藤井キャスター
「地震があってから初めて来たんですか?」

輪島市で被災した横道正栄さん(80代)
「初めて」

藤井キャスター
「だいぶ様子が変わっていますか?」

輪島市で被災した横道正栄さん(80代)
「変わっているね、面影ねえのう」

横道さんの自宅も被害にあい、今は金沢市に避難しているといいます。

震災から3月1日で2か月。石川県では、いまだ1万1048人の住民が避難生活を強いられています。

輪島市から約120キロ。金沢市にある体育館には、輪島市南志見地区の住民74人が集団で避難しています。

「リモートで授業しています」

そこでは、体育館の床に座り勉強している専門学校生の姿もありました。理学療法士を目指す向浜結美さん(19)。2か月たっても満足に勉強できない状況です。

藤井キャスター
「今、一番大変に思っていることは」

実家が輪島市の専門学校生・向浜結美さん(19)
「勉強机とか(がない)、照明も午後10時には消えてしまう」

長引く避難生活。

藤井キャスター
「自宅に戻りたい気持ちは強い?」

輪島市から避難した浜高泰子さん(81)
「戻りたいけど戻るに戻られんもんね。あそこに戻っても生活できない。それこそお先真っ暗で、何をどうすればいいのか」

藤井キャスター
「みんなで輪島に戻るには何が必要ですか?」

輪島市から避難した浜高元一さん(58)
「本当に難しいですよね。一つ思っているのは焦らないこと。今、不便な状況で仮設造ったからといっても不便なだけなので、もうちょっと時間がかかってもちゃんとした状態で迎え入れるような準備をしていただいて」

輪島市の避難者の1人、中学3年生の山下明日凪さん。高校受験まで2か月を切った今年1月、輪島市から白山市へ同級生と集団で避難しました。

中学3年生 山下明日凪さん(今年1月)
「さみしいですけど、2か月は意外とすぐだと思うので頑張ってこようと思います」

一方、母の明美さんは…

母・山下明美さん(今年1月)
「親としては、2か月というのが長いですよね。行っちゃうと行っちゃうでさみしくなる」

その後の状況はどうなのか、藤井キャスターが母・明美さんに話を聞きました。

母・山下明美さん
「受験生だから親としてはさみしいけど、お風呂もちゃんとしていて、ご飯もちゃんとしていてというところで落ち着いて勉強した方がいいし」

明日凪さんは来週、高校受験を迎えます。

母・山下明美さん
「受験が6日・7日なんですよね」

藤井キャスター
「3月6日・7日といいますと、もう1週間切っているくらい」

母・山下明美さん
「そうですね、勉強しているかしら」

娘が勉強できているのか。輪島市で自営業をしている明美さんは、離ればなれの生活のため直接確認することはできません。

明日凪さんは今、どのような心境なのでしょうか。母・明美さんが電話すると…

母・山下明美さん
「おお、明日凪」

直接会えたのは、避難してからわずか2回。

母・山下明美さん
「帰ってきたいなって思う?」

山下明日凪さん
「うーん、たまには帰りたい」

明美さんには毎年楽しみにしていることがあるといいます。

母・山下明美さん
「3月9日って母ちゃんの誕生日だよね、卒業式終わったらケーキ作ってくれるんね」

山下明日凪さん
「いいよー」

地元・輪島市の高校を受験する明日凪さん。

山下明日凪さん
「やっぱり地元のほうが慣れているし、いいかなと思ったので輪島(の高校)で」

輪島市では一部の地区を除き、中学生の集団避難が卒業式などに合わせて今月中に終了する方針です。

   ◇

藤井キャスター
「卒業式が終われば桜が咲く春がやってきます。多くの被災者が春を待っています。ただ、避難所にいたある人が、『被災地が動き始めた現状を伝えてもらうのはいいが、その何倍も苦しい状況が残っているんだ』と話してくれました」
「進み始めた被災地を見て安心すると、助けを必要とする人が孤立する可能性があります。ボランティアのみなさんの力を含め、能登半島に、被災地に気持ちを送り続けることが大切です」

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