都会でカラスの被害が増加 ゴミ増加でエサが豊富 “繁殖シーズン”で人への襲撃も…
カラスによる被害が今、都会で増えています。4月から6月はカラスの繁殖期で、警戒心が高まっているためです。カラスがなぜ、都会に集まってくるのか、どうすれば被害を減らせるのかを取材しました。
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春の行楽シーズンを迎えましたが、神奈川・藤沢市で見られたのは、浮かれた気持ちも一気に冷めてしまう光景です。25日、湘南のビーチを“わが物顔”で占拠していたのは大量の「カラス」の群れです。
――(カラスが止まっている塀の柵の部分)よく見るとあれ、白いのフンですね
地元住民
「そうだね、いなくなってほしいけどね」
地元の住民は“フン害”に憤慨していました。
青春の思い出をつくりに来た高校生たちを、大量のカラスが取り囲む場面も見られました。かと思えば、バーベキューを楽しむ人の隙をうかがい荷物をつつくなどやりたい放題。さらに、カラスとトビがケンカする様子も見られました。
カラスは、4月から6月の繁殖期には巣を守ろうとして警戒心が高まるといいます。
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“大都市”名古屋市では、ここ最近、通行人がカラスに襲撃される被害が相次いでいるというのです。
「自転車でおりていたら、頭ガッとやられた」
――ヘルメットは?
「家にあったやつ、カラス用に」
専門家は、その背景の一つに「“今年ならでは”の事情がある」と話します。
カラスなどの生態に詳しい東京大学名誉教授 樋口広芳さん
「“コロナあけで”レストランが一斉に開業する。生ゴミが大量に出る。それ(生ゴミ)をカラスが群れで食べにやってくると」
去年の春よりもゴミが増えた「都会」は、カラスにとって絶好の環境になっているといいます。
一方で、人が出歩く機会も去年の春より増えているため、カラスに襲われるリスクも高まっているというのです。
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そして、今度の週末から始まるゴールデンウイークに注意が必要だというのが、大混雑が予想される東京の表参道や原宿周辺です。
25日、原宿には人を恐れる様子を一切見せないカラスがいました。誰かが捨てたものなのでしょうか、サンドウィッチを口にくわえると、持ち去っていきました。
そのまま道路に放置されていた残骸を見るに見かねてか、外国の男性が拾っていく姿も見られました。
「ゴミ箱に捨てた方がいいかなって」
緑があふれ、エサも多いこの場所は、カラスが巣を作るのに絶好の場所になっているのです。近くの代々木公園にピクニックに行った人は――
公園に来た人
「けっこう怖いなと思うくらい(カラス)はいた。ほかの人の荷物をつついているカラスもいた。退治しているおじさんがいた、缶投げて退治していて」
専門家によると、これはカラスを刺激する危険な行為だといいます。カラスから身を守る方法について聞きました。
NPO法人札幌カラス研究会 中村眞樹子代表
「腕をまっすぐあげて、動かしたりしないでそのまままっすぐ進むか戻る。頭を蹴られるのを防げるので」
広げた翼が人の腕に引っかかって傷つくのを嫌うため、カラスは避けていくというのです。
そして何より、ゴミを持ち帰るなど、カラスに隙を見せないことも重要です。