「ぼんぼり」で推し活? 桜の名所に「アイドル名」ずらり 応援広告“市場規模は377億円”試算も
都内有数の桜の名所で、ある現象が起きていました。「ぼんぼり」になぜか男性アイドルの名前がずらり。実は、知られざる“推し活”の舞台になっていました。
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東京を代表する“サクラスポット”目黒川。見頃を過ぎ、葉桜が目立ち始めていますが、11日も写真を撮る人たちの姿がありました。狙いを定めた先には…
「『なにわ男子』見つけたって思いました」
中国から KinKi Kidsファン
「『堂本剛さん』のぼんぼりを探してます」
お目当ては、桜ではなくこの“ぼんぼり”でした。“ぼんぼり”には、アイドルやアーティストの名前、そしてメッセージがあちらこちらに。実はこれ、アイドルのファンらが出した「応援広告」だというのです。
ぼんぼりを見に来た人
「応援広告で、アイドルのみんなに頑張ってみたいな」
「応援広告」とは“推し活”の一環で、もとは韓国のアイドルファンが始めた文化。“推し”の誕生日や、デビュー記念日をお祝いするために、ファン自らお金を払い掲載する広告のことです。
目黒川では約3000個あるぼんぼりのうち、一般枠として500個分を1つ3500円で募集しました。アイドルの「応援広告」と思われる数は、約100メートル間で64個中20個! 全体では200個ほどが応援広告だといいます。
これを目当てに、桜が散りかけたいまも人が殺到。出会ったのは、アイドルグループ、Number_iの平野紫耀さんの大ファンという女性です。
平野紫耀さんのファン(40代)
「こっちにあると思うので見に行く」
目指していたのは、平野紫耀さんのぼんぼりが30個連続で並ぶファンにはたまらないスポットです。その在りかを探し出せるのか!? しかし…
平野紫耀さんのファン(40代)
「向こうかな?どっちだろう?」
歩けども…
平野紫耀さんのファン(40代)
「どこでしょう? こっちにもぼんぼりあるな」
歩けども見つからず。
平野紫耀さんのファン(40代)
「この辺からさっき見始めて、あれ~、ここ通りました」
1時間以上かけ、目黒川周辺を右往左往。実は、女性が来る直前に撤去されていたのです。
平野紫耀さんのファン(40代)
「“聖地”に来たという気持ちで見たかったけどね」
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こうしたなか、早くも来年の“計画”を練る人も。
会社員(30代)
「私も来年出してみたい」
――どなたの?
会社員(30代)
「どなたのっていうか、うちの犬出したいけどいいですか?」
こうした動きについて、さくらまつりを主催する商店会は…
中目黒駅前商店街振興組合 本橋健明理事長
「2~3年前くらいから急に多くなったと感じている」
――知らないアイドルも?
中目黒駅前商店街振興組合 本橋健明理事長
「たくさんいます。僕らはまったく知らない」
それでも“応援広告”がまつりの盛り上げに一役買っていると話していました。
一方、目黒川のぼんぼりを制作する業者には“意外”な悩みも…。
第一モール 盛川崇代表
「外国語の文字も多くなりましたし、特殊記号も多くなってます。1つ1つ手書きなので、表現するのが難しいと(名入れ業者から)聞いています」
韓国語などの発注も増え、制作には悪戦苦闘しているということです。
日本でも認知度が高まる“応援広告”。潜在的な市場規模は377億円(※ジェイアール東日本企画調べ)とも試算され、普段使う駅などに誰でも広告を掲載できるこんな取り組みも…。
ジェイアール東日本企画Cheering AD 河原千紘さん
「スマホからポチっと広告を買えるようになりまして、去年だけでも約1000団体の掲出のサポートをした」
広告代理店が間に入り、タレント事務所に画像などの使用許可まで取ってくれるこのサービス。気になるお値段は、広告形態や場所により異なりますが、B0サイズで1週間、6~9万円。大きめになると1週間30万円。
問い合わせも増加傾向で、屋外ビジョンや映画館の広告なども取り扱っているということです。