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【解説】三陸沖 過去にM6以上の地震が“連続発生 まとまった地震活動とM6以上の地震に注意

2023年9月18日 21:50
【解説】三陸沖 過去にM6以上の地震が“連続発生 まとまった地震活動とM6以上の地震に注意
今年8月下旬、三陸沖を震源とするマグニチュード6.0の地震が発生し、その後、地震活動が一時的に活発となりました。三陸沖では1980年代・90年代にマグニチュード6クラスの地震が頻発し、マグニチュード7を超える地震がおきた事例もあったため、政府の地震調査委員会も、先月の地震について注目しています。三陸沖では過去にどんな地震活動があったのか? 社会部災害担当・内藤ミカ記者が解説します。【週刊地震ニュース

■震度1以上は61回 鹿児島・十島村で震度4を観測

9月11日から17日までの期間、国内で震度1以上の地震は61回ありました。このうち、震度3以上は3回でした。

▼11日午前0時1分ごろ、鹿児島県十島村で震度4の揺れを観測する地震がありました。震源はトカラ列島近海、地震の規模を示すマグニチュード5.3、震源の深さ18キロでした。(発生時間は午前0時1分59秒)

▼12日午前1時46分ごろ、鹿児島県十島村で震度3の地震がありました。震源はトカラ列島近海、マグニチュード4.6、震源の深さ19キロでした。

▼16日午前4時35分ごろ、福島県広野町、楢葉町、富岡町、大熊町で震度3を観測する地震がありました。震源は福島県沖、マグニチュード4.2、震源の深さ44キロでした。(発生時間は午前4時35分57秒)

■トカラ列島近海の地震活動 一旦減少するも引き続き注意が必要

トカラ列島近海(小宝島付近)では今月8日から地震活動が活発となっていて、18日午前11時までに震度1以上の地震が341回おきています。12日以降、地震発生回数が減少し、地震活動は一旦少なくなったようにみられますが、当分の間は強い揺れに注意が必要です。

■先月下旬「三陸沖」でM6.0の地震以降、まとまった地震活動も

先月25日、午前7時48分ごろ、三陸沖を震源とする地震がありました。この地震、マグニチュードは6.0、震源の深さは15キロで、青森県、岩手県、宮城県で震度3の揺れを観測しました。陸のプレートとその下に沈み込む太平洋プレートの境界で発生した地震です。25日の地震以降、一時的に地震が頻発して、まとまった地震活動となりましたが、今月に入ってからは発生回数は減少しています。

■三陸沖 1980年代・1990年代にM6以上の地震が頻発 1989年にはM7.1も

この三陸沖では短い期間に、やや大きい規模の地震が相次いだことがあります。1つ目の事例は、1989年10月から11月にかけてです。10月27日に、マグニチュード6.2と6.1の地震がありました。その2日後の10月29日には、マグニチュード6.0と6.5の地震があり、さらに11月2日にはマグニチュード7.1の大きな地震が発生しました。

■1992年7月にもM6以上立て続けに発生

1992年7月にも、M6.0以上の地震が立て続けに発生しました。7月16日、マグニチュード6.1の地震があり、その2日後にはマグニチュード6.9の地震が発生しました。その後も、マグニチュード6以上の地震が続いたということです。

■「震源移動」「広範囲」でまとまった地震活動

三陸沖を震源とする一連の地震活動、1989年の最大震度は4でした。また1992年の活動の最大震度は震度3でした。震源の位置が陸から、かなり離れているため、陸域ではそこまで大きな揺れにならなかったと考えられます。さらに、1989年と1992年のいずれの地震活動でも、震源が移動し、三陸沖の広い範囲で地震がおきていました。

このように三陸沖では、震源の場所が移動しながら、まとまった地震活動が発生、さらに規模の大きな地震が連続しておきるということがありました。このため、政府の地震調査委員会も先月25日の三陸沖でおきたマグニチュード6.0の地震について、今回も大きな地震が連続しておきないか注視しているということです。

今月に入って、活動は一旦落ち着きましたが、再び活動が活発になる可能性もあるため注意が必要です。また、震源が海域のため、規模の大きな地震が発生した場合は、津波が発生するおそれもあります。大きな地震がおきた時には津波に関する情報に注意し、身の安全を守ってください。

■3.11で地盤への圧力変化 今後の研究に期待

地震の専門家で、環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは、三陸沖を含む東北地方の沖合は地震活動が定常的に高い領域であるとした上で、次のように述べています。

▼東北地方太平洋沖地震で周辺の地盤にかかる圧力が大きく変化したことで、国内の広い範囲で地震・火山活動の変化が観測され、様々な研究が進んだ

▼しかし、地震発生サイクルは“数百年間隔”であり、現在はそのうちのほんの一瞬しか見えていないのが現状。今後の研究に期待することが多い

過去と同じような地震活動となるとは限りませんが、過去の地震活動を知り、備えを進めることも大切です。

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