阿蘇山~マグマだまりへのマグマ蓄積進み火口では土砂噴出も 気象庁「引き続き警戒を」
熊本県の阿蘇山では、火山活動が高まった状態となり、気象庁は先月、噴火警戒レベルをレベル1からレベル2の「火口周辺規制」に引き上げました。中岳第一火口では土砂が噴出しているほか、夜間に火映が観測されるなど、火山活動が活発な状態が続いているとして警戒を呼びかけています。
気象庁によりますと、阿蘇山では地殻変動の観測データから去年12月頃から、地下のマグマだまりにマグマの蓄積が進んでいると考えられるほか、火山ガスの放出量が増加するなど火山活動が高まっています。
このため先月23日、5段階の噴火警戒レベルをレベル1の「活火山であることに留意」から、レベル2の「火口周辺規制」に引き上げました。
先月16日におこなわれた調査では、中岳第一火口内に灰色の湯だまりが確認されたものの、高さ5メートル未満の土砂噴出が確認されたということです。この土砂噴出は火山活動が活発な時にみられるということです。
また火口には地下水や雨の影響でできる「湯だまり」がありますが、この量は去年の夏ごろは6割あったものの、去年12月の観測ではおよそ2割となり、先月の観測では去年12月と比べわずかに減少していました。火口内の高温によって干上がっていると考えられるということです。
また先月19日以降、中岳第一火口では夜間、高感度の監視カメラで「火映」と呼ばれる現象も確認されています。
気象庁の碓井勇二火山活動評価解析官は、「火口壁の温度上昇」を指摘していて、南側火口壁の最高温度は去年12月の227度から先月は422度と高くなっていて、高温の領域が拡大しているということです。
阿蘇山では、火山活動が高まっている状態が続いているとして、気象庁は、中岳第一火口からおおむね1キロの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石や火砕流に警戒し、風下にある地域では火山灰だけでなく、小さな噴石や火山ガスに注意してほしいと呼びかけています。
出典:気象庁