“統一教会”その実態とは? 「霊感商法」でトラブルも…教団関連の印鑑販売会社の社長らが逮捕・有罪判決の過去も
・韓国発、約70年の歴史
・現在も“トラブル”
・安倍元首相との関係
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
安倍元首相を手製の銃で撃ち殺害した疑いが持たれている山上徹也容疑者(41)の「母親がのめり込んでいた」という供述に関連して、世界平和統一家庭連合の田中富広会長が11日、会見を開きました。ポイントをまとめると、以下のようになります。
◇山上容疑者の母親は信者だが、山上容疑者本人は信者ではない
◇「母親が多額の寄付などをして家庭がめちゃくちゃになった」との供述については、「捜査に関係するので言及は避ける」
◇山上容疑者の家庭が経済的に破綻していたことは、「今回の事件を受けて、調べて分かった。破綻に至った原因までは分からない」
この教団について、振り返ってみたいと思います。
会見した「世界平和統一家庭連合」とは、「世界基督教統一神霊協会」、いわゆる”統一教会”として、1954年に韓国で創立されました、キリスト教系の新宗教団体とされています。教団は、日本では2015年に今の名称に変更しています。
有名なのは、信者同士が結婚する「合同結婚式」で、式は集団で行われていました。現在も「合同祝福結婚式」として同様の儀式が行われており、ホームページによると、最近では今年4月にも開催されました。
全国に284か所、都内にも34か所の教会があり、教団によると、信者の数は国内に60万人いるといいます。
教団をめぐっては、悩みにつけ込み不当に高額なつぼや印鑑などを買わせる「霊感商法」との関連が取りざたされました。2009年には、教団関連の印鑑販売会社の社長らが逮捕されており、その後、有罪判決となったこともあります。
また、教団名を隠して勧誘したことが問題となったこともありました。
11日の会見で、教団の会長は、過去には問題があったことを認め、その後、コンプライアンスを徹底し、「2009年以降は、トラブルはない」と述べていました。
世界平和統一家庭連合 田中富広会長
「過去、献金に関してトラブルがあったということは、報道関係者の皆様方も周知の事実かと思います。当法人も、大きく献金に対する姿勢も含め変わってきた。2009年以降の案件で、そのようなトラブルはありません」
しかし、長年、教団のトラブルに対応してきた山口広弁護士によると、「教団による霊感商法の被害は今も続いている」と指摘しています。
全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、教団による霊感商法の被害相談、2020年は214件、あわせて9億円以上、去年も47件、あわせて3億円以上の被害相談が寄せられているということです。
約5年前にも、息子について悩んでいる父親が、「先祖が霊界で苦しんでいる。その因縁のせいで、息子が不幸になっている」などといわれまして、「約2100万円の献金をさせられた」というケースもありました。
また、長年この問題に取り組んできた紀藤正樹弁護士によると、夫や息子を亡くした女性が、「家族が霊界で幸せになれる」などといわれ「400万円」以上の献金をさせられたケースもあったということです。教団をめぐる献金トラブルは現在も続いていて、係争中の裁判もあるということです。
捜査関係者によると、山上容疑者は「去年9月、宗教団体の代表らが設立した、NGOの集会に寄せられた安倍元首相のメッセージを見たころに殺害を決意した」と供述していることが新たに分かりました。
このNGOというのはUPF(=ユニバーサル・ピース・フェデレーション)という団体で、世界平和のための活動をしているといいます。“統一教会”と同じ創設者で、友好団体だとしています。
安倍元首相は実際、去年9月、このUPFが主催する行事にビデオメッセージを寄せていて、「とりわけ、朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆様に敬意を表します」と、教団の現在の教祖となっているハン氏をたたえていました。
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12日午後、告別式の後、安倍元首相のひつぎを乗せた車は、約9年間首相として過ごした官邸などゆかりの地をめぐり、荼毘に付されました。二度とこのような暴挙が繰り返されないために、事件の背景に何があったのか、解明が急がれています。
(2022年7月12日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)