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新年皇室のゆくえ~記者が振り返る1年

2022年1月1日 0:00
新年皇室のゆくえ~記者が振り返る1年

2021年の皇室はコロナ禍の中で活動を模索し、秋篠宮ご夫妻の長女、小室眞子さんの結婚に揺れた。一方、天皇皇后両陛下の長女、愛子さまは成年皇族の一員となり、上皇さまは健やかに米寿を迎えられた。1年を振り返り、新しい年のゆくえを考える。
(社会部宮内庁担当 笛吹雅子)

   ◇◇◇

21年の皇室の活動は、天皇皇后両陛下による新年ビデオメッセージで始まった。新型コロナウイルスの感染拡大のために行われなかった新年一般参賀での天皇陛下のお言葉に代わるものだ。

ビデオメッセージ公開の時間は、天皇陛下の新年最初の活動である「四方拝」が始まる午前5時半に合わせること、陛下お一人ではなく、天皇皇后両陛下お二人でメッセージを送られることは、陛下の強いお気持ちからだったと聞く。

その中で、陛下は、人類が幾度も疫病や自然災害に見舞われながら乗り越えてきた過去にふれ、「今年が、皆さんにとって、希望を持って歩んでいくことのできる年になることを心から願います」と述べられた。そして、皇后さまは、「どうぞ皆様くれぐれもお体を大切にお過ごしいただきますように」と締めくくられた。

■両陛下とオンライン

こうして始まった21年の皇室のご活動は、前年に続き新型コロナウイルスの影響を大きく受けた。両陛下の地方訪問は全て見送られ、東日本大震災から10年の東北3県への被災地訪問は、オンラインで行われた。両陛下は、画面越しに被災した人たちの話に耳を傾け、これまでの10年をねぎらわれた。交流した人たちに聞くと、「話しやすかった」と感想を述べる人が多く、気さくで親しみの感じられる両陛下のお人柄を物語るものだった。

オンライン交流では、会える人数が限られるなどの課題はあるが、実際の訪問では同じ日には難しい遠方の町を続けてつなぐことや、途中で動画の紹介を入れるなど、オンラインの利点を生かした工夫が取り入れられた。

新型コロナウイルスの影響が続く中、じかに触れ合う機会をどのように増やしていくのか、令和4年目もご活動の模索を続けられることになる。

■「類例を見ない」眞子さんの結婚

21年の皇室は、秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さんと小室圭さんとの結婚に揺れた。秋篠宮さまは「類例を見ない結婚」と表現されたが、結婚に際しての行事や儀式を行わず、一時金も支給されない極めて異例の形で眞子さんは皇室を離れ、11月にアメリカで新生活が始まった。

結婚の発表では、眞子さんが「複雑性PTSD」と診断されたことが明かされ、秋篠宮さまはその原因について「恐らく週刊誌やインターネットの記事にあるだろう」と述べ、「誹謗中傷、つまり深く人を傷つける言葉は許容出来るものでは無い」との考えを示された。

眞子さんの結婚は、女性皇族のご結婚や皇室のあり方を考える上で、一石を投じることとなった。皇室に関する記事や書き込みへの今後の宮内庁の対応にも目が注がれることになる。

■愛子さま成年皇族の一員に

天皇皇后両陛下の長女、愛子さまが12月、成年を迎えられた。公務のデビューは元日の「新年祝賀の儀」で、現在、学習院大学2年生の愛子さまは、今後、学業を優先しながら公務に臨まれる。長く仕えてきた側近たちは皆、勲章とティアラを着けられた愛子さまの正装姿を見て、健やかなご成長を喜び、中には「にこやかな姿を拝見して、目頭が熱くなった」と語る人もいた。

愛子さまは成年にあたり、「一つ一つのお務めに真摯に向き合い、できる限り両陛下をお助けしていきたい」と感想を寄せられた。22年3月の第3週には記者会見が予定されている。

■皇后さまのご体調「依然、波がおあり」

皇后さまは、歴代の皇后に引き継がれている皇居でのご養蚕について、初めて全ての作業をされた。とても楽しそうに取り組まれていたという。また、皇后さまは、愛子さまのドレス作りなど、成年行事の準備を愛子さまと一緒に進められた。関係者によると、母娘が会話する姿はほほえましいものだったという。「愛子さまのご成長は、皇后さまのご体調にとって何より」と語っている。

皇后さまは2004年に適応障害と診断され、体調を整えながらの公務を続けられている。ご体調には依然、波があり、連日のご活動は難しい状況が続いているという。陛下も「大きい行事の後や行事が続いた場合には、疲れがしばらく残る傾向があります」と述べられた。

医師団は、皇后さまにとって私的な部分でも活動の幅を広げることが大切だとの見解を示している。

■上皇さま米寿“最長寿”天皇に

19年に退位した上皇さまは、88歳の米寿を迎え、記録の確かな天皇の中で最長寿となられた。魚類の研究者としてのご活動を続けながら、健やかに、上皇后さまと穏やかな日々を過ごされているという。米寿を記念して平成のご活動をまとめたDVDが制作された。昭和から続く平成の時代に、天皇の務めを模索された記録である。どのような「思い」が引き継がれているのか、令和の皇室について考える内容ともいえそうだ。

上皇ご夫妻は、22年には住み慣れた赤坂御用地へ転居されることが予定されている。

■政府の有識者会議「皇族の確保へ2案」

政府の皇位継承に関する有識者会議は、21年12月に皇族数を確保するための2案を盛り込んだ報告書をまとめた。報告書の中では「天皇陛下から秋篠宮さま、悠仁さまという皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」とする一方で、「悠仁さまの次世代以降について具体的に議論するには機が熟していない」としている。

そして、皇族数を確保する方策として、「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する」案と、「旧皇族の男系男子を養子に迎える」案の2つを示した。今後、国会に報告され、議論されることになる。

秋篠宮ご夫妻の長男で皇位継承順位が2位の悠仁さまは、春に中学を卒業される予定で、高校の進学先が注目されている。また、今後、成年皇族の一員となった愛子さまや秋篠宮ご夫妻の二女、佳子さまをはじめ、女性皇族方のご活動やご結婚に関心が高まることになる。

令和4年となる22年。これからの皇室はどうあるのが良いと思うのか、皇族数減少と皇位継承の問題をどう考えるのか。検討の時がきている。

写真:2022年新年の両陛下と愛子さま(写真提供 宮内庁)