コメ品薄で悲鳴「近所のスーパー全滅」……新米シーズン間近、解消いつ? 10年ぶりに需要増加のワケ【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「品薄続く…新米登場で今後は?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●新米登場も…値段は
●続く品薄感 いつ解消?
「いまだに一部のスーパーなどで続いているコメの品薄ですが、同時に新米の収穫も始まっています。気になる今後のコメの流通状況をお伝えします」
「東京・練馬区のスーパーアキダイ関町本店を3日に訪ねました。8月下旬頃から新米が入荷され始め、2日も30袋入荷したということですが、既に売り切れていました」
「その値段ですが、例年と比べて仕入れの値段が2~3割高くなっているため、販売価格も上げざるを得ない状況だそうです」
アキダイの秋葉弘道社長
「一気に上げ過ぎちゃうとお客様がお米離れをしちゃうと困っちゃうんで、極端な値上がりはしないでほしいなという思いはあります。でも、ある程度の値上がりは仕方ないことであって…」
鈴江奈々アナウンサー
「毎年この時期、新米を楽しみにしているんですけれども、今年は2~3割高いとなると『うっ…』となりますよね」
斎藤佑樹キャスター
「僕もパンよりごはん派なので、品薄状態はあまり続いてほしくないなと思いましたね」
近野解説委員
「新米の本格的な流通はまもなくですが、価格はどうなりそうなのでしょうか。全国各地にあるJAが、新米を農家から買い取る際に支払う価格の目安となるものが『概算金』です。各県のJAグループが今の時期に決めるものですが、具体的な銘柄で見ていきます」
「いずれも等級は1等で、60キロあたりの概算金です。新潟県の魚沼産コシヒカリは去年より2300円高く、秋田県のあきたこまちは4700円上昇。北海道のななつぼしも4000円上がりました。主な産地全体で去年に比べて2~4割引き上げとなりました」
森圭介アナウンサー
「一般の家庭だと5キロや10キロで買いますから、400円~600円くらいの値上がりということでしょう。これが店頭価格にそのまま反映されると考えていいんですか?」
近野解説委員
「小売店の努力で抑えられる部分はもしかするとあるかもしれませんが、少なからず影響はすると思います。ではどうして金額が上がっているのでしょうか。主な理由は、肥料や燃料代など生産コストがそもそも上昇していることがあります」
「さらに北海道のホクレンの場合、店頭のコメが品薄となっている状況を解消するため、9月末までの出荷分について、生産者に対してさらに3000円(60キロあたり)上積みすることとしています」
「早く消費者に届けるため、収穫作業を早めてくれた生産者には多く支払うというインセンティブの仕組みです。これがそのまま販売価格に反映されるかというと、そうではありませんが、今後の需要の増加で、消費者が支払う値段に影響する可能性もあるといいます」
河出奈都美アナウンサー
「これは農家さんへのインセンティブですもんね。これによってできるだけ早く品薄解消につながればいいなと思いますが、なかなか異例の対応ではありそうですね」
近野解説委員
「めったにない、普通じゃない対応を取るしかないということです。とにかくモノがないということは皆さん実感されていると思います。斎藤さんのお宅の近くではどうですか?」
斎藤キャスター
「スーパーからなくなっている状況です」
森アナウンサー
「不安になる人はいるかもしれないですね」
近野解説委員
「なんとなく焦ってしまいますよね。3日にSNSを見ると、『災害備蓄用のパックご飯出すしかない』『9月になったから在庫復活してるかと思ったけどない』『家から米がなくなった』『近所のドラッグストア スーパー全滅』といった悲鳴が相次いでいました」
近野解説委員
「どうしてここまで消費者が『コメが足りないんじゃないか』と感じる事態になっているのか。そもそもの理由の1つにあるのが、コメの需要の回復です。農林水産省によると、主食用のコメの需要は減少が続いていましたが、今年7月に10年ぶりに増加に転じました」
近野解説委員
「増えた理由はいろいろありますが、1つ目にはインバウンドの回復があります。2つ目は、節約のためです。他のさまざまな食品の値上がりが続いた結果、『コメは値ごろだ』と思って買う消費者が増えたことが影響しているのではないか、とみられています」
鈴江アナウンサー
「一時期はコメ離れと言われていましたが、物価高を背景に、また人気が復活して需要が高まった側面もあったんですね」
近野解説委員
「とは言っても、需要が増えたからといって店頭からここまで消えるのも変だなと思いますよね」
「直接契約している農家を中心に、全国からコメを取り寄せて販売している小売店は『生産者と直接年単位で契約している小売業者はほぼ困っていない。困っているのは、その時々で安いコメをスポット的に仕入れているところ』と話します」
「去年の猛暑の影響で、コメの流通量が全体として例年よりも少なかったんですが、中でも特に、安いコメが最初に足りなくなりました」
「大手卸売業者からは、安いコメの在庫が少なくなっていったことが、コメ全体が品薄になる今の状況を招いたのではないかという指摘も出ています」
近野解説委員
「こうしたことから、構図が見えてきました」
「安いコメをスポット的に仕入れ、ディスカウントストアなどに卸していた業者が、いつもの安いコメを入手できなくなった。そしてディスカウントストアなどでいつも通りのコメを買えなくなった消費者が、他のスーパーで少しグレードの高いコメなどを購入した」
「そうするとスーパーなどで需要が急増して品薄になった。さらに、最近の地震の注意情報や相次ぐ台風への備えを受けて、買いだめをする消費者も増えて品薄が加速したのではないか。こうしたことが考えられます」
森アナウンサー
「産直の事業をしている人に聞くと、産直のサービス自体にも農家さんにもコメはある。ただスーパーにはない。直接やり取りする分にはあるにはあるけれど、あくまで一時的に今ないんだよ、という話でした」
「私はふるさと納税でコメを取り寄せていますが、全く問題ないんですよ。スーパーから消えているだけ、ということなんです」
斎藤キャスター
「品薄状態が続いていますが、いつ解消されるんですか?」
近野解説委員
「坂本農水大臣は3日の会見で、9月末までには新米の流通が本格化するので、品薄も解消されるだろうとの見通しを示しました」
坂本農水大臣
「9月末までには産地から集荷業者や卸売業者への年間出荷数量の4割程度が産地から出荷されるなど、流通が本格化します。生育は全国的に順調に進んでいます」
「平年より1週間程度収穫が早まる産地もありまして、合わせて出荷も前倒しで行われる見込みです。このためコメが品薄となっている状況は順次回復していく」
近野解説委員
「千葉市のあるコメ農家では、今年は稲刈り機を通常より1台増やしました。コメの品薄に対応しようと、例年よりも2週間以上早く販売を始めるためなんです」
河出アナウンサー
「農家さんも早い対応を迫られているということですね」
近野解説委員
「必死の努力をしているということですね」
近野解説委員
「コメの収穫はいつ頃かご存知ですか? 私は新潟出身で地元の状況はよく知っていますが…」
「政府統計を基に昨年産の実績を色分けした地図があります。北陸と新潟は9月前半まで。北日本は9月の後半。九州は、福岡以外は10月に入ってからでした。これからどんどん増えていくのが分かりますよね」
鈴江アナウンサー
「農家の皆さんが収穫してくださっていただけるので、改めて感謝して新米をいただきたいと思います」
近野解説委員
「新米のシーズンはすぐそこですので、とにかく慌てて買いに行くなどしないように、今こそ冷静に対応することが必要だと思います」
(2024年9月3日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)