銀座時計店強盗 4人とも横浜市在住も…お互い「知っている人はいない」 専門家“闇バイトで集めた捨て駒”
8日、東京・銀座の時計店に仮面をかぶった3人組の男が押し入り、高級腕時計を奪って逃走した事件。別の事件で逮捕された、高校3年生を含む16歳から19歳の4人の関与が疑われています。4人はいずれも神奈川県横浜市在住ですが、お互いについて「知っている人はいない」と供述していることが捜査関係者への取材で明らかになりました。専門家は、“いわゆる闇バイトで集まった捨て駒”と指摘しました。
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9日午後6時すぎ、私たちは3人組の男が押し入った時の様子を、スマートフォンで至近距離から撮影した男性に見せてもらいました。
目撃者
「周りの人も騒いでいるわけでもなかったので、何かのショーなのか、撮影なのかと一瞬思った。隣に座っていた同僚が『強盗だ、強盗だ』って言うので、『えっ?』と思って行ってみたら本当に強盗だった」
見せてもらった映像には、「演技じゃないこれ?」「リアル」といった声も入っていました。大通りで多くの人が行き交う中、3人組の男らは黒いバッグに高級腕時計を次々と入れます。様子を見ていた女性がドアをふさごうとすると、「ぶっ殺すぞ!」とどう喝し、100点以上の高級腕時計を奪って逃走。店の近くに止めていた白い車に乗り込み、その場をあとにしました。
――(3人の男らが)誰かと電話でやりとりは?
至近距離で動画撮影した目撃者
「しゃべっているのは聞こえなかった。マスクしているので口の動きもわからなかった。2人が壊して、1人がショーケースからカバンに詰めてっていう役割分担」
車は前にいたタクシーを追い抜き、信号無視して逃走していきました。「news zero」はこのタクシーから、車内を目撃した人に話を聞くことができました。
車で逃走する瞬間をタクシーから目撃した人
「運転手が1人、車の中で待機している状態。(運転手も)同じような感じで仮面かぶって黒っぽい服装。(時計店から出てきた)3人はものすごい慌てていたけど、運転手は正面かミラーを見つめていて、ハンドルに手を置いて発車する準備ができている感じ」
助手席には誰も乗っていなかったといいます。
車で逃走する瞬間をタクシーから目撃した人
「タクシーの横を通り過ぎる時、ドアが半開きだったので中の様子が見えたんですけど、犯人たちは振り落とされないように車に必死にしがみついている感じ。映画のワンシーンみたいな感じ。赤信号だったんですけど、信号無視して進入して右の方向に曲がって行った」
その約1時間後、東京・港区赤坂で警察官が取り囲んだのは、高校3年の18歳です。
警察官
「パトカー呼んで! パトカー!」
高校生(18)
「やめてください! やめてくださーい!」
警視庁は、“強盗事件の犯行グループ”とみられる16歳から19歳の4人を、近くのマンションの部屋などに侵入した疑いで逮捕しました。
新たに入手した確保直前の映像では、アルバイトの19歳がマンションの5階のベランダ(の縁)伝いに移動している様子がとらえられていました。警察官が「おい! おい! 止まれ!!」と大声で制止しています。
警察官
「危ない、やめときな、本当にやめとけ」
「けがするからちょっと待て、話しよ」
「危ないから」
ベランダの端に追い詰められたアルバイトの19歳が縁から降りると、警察官の「確保! 確保! 確保!」という声とともに取り押さえる様子も見られました。
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4人は強盗事件への関与が疑われています。発生から一夜明け、事件の詳細が徐々に明らかになってきました。
まず、4人はどんな人物か。警視庁によると、逮捕されたのは無職の16歳、職業不詳の19歳、アルバイトの19歳、そして、高校3年の18歳です。いずれも神奈川県横浜市に住んでいますが、4人はお互いについて「知っている人はいない」と供述していることが9日夜、捜査関係者への取材で明らかになりました。
調べに対し、3人は「侵入したことに間違いありません」と容疑を認める一方、18歳の高校生は「知りません」と否認しているということです。
そして、逃走に使ったとみられ、付近に白い仮面も落ちていた、乗り捨てられた車についても新たな情報が出てきました。この車はレンタカーで、ナンバープレートを付け替えていた可能性があることが判明したのです。
さらに、捜査関係者によると、車の近くで約30点の腕時計が入った黒いバッグが見つかったこともわかりました。それが被害品なのか、警視庁が確認を進めています。
押収された腕時計について、元大阪府警の中島さんに話を聞きました。
元大阪府警 中島正純氏
「おそらく(押収した)30点ぐらいは、『おまえたちの取り分だ』と報酬という形で(実行役に)渡されたのでは。本当に短いスピード逮捕だったが、それでも(強盗から確保まで)1時間あるわけです。お店を出てからすぐに上の者と会って、商品を手渡していると思う」
犯行については、計画性もうかがえるとして“指示役”がいる可能性を指摘します。
元大阪府警 中島正純氏
「3人で分担して仕事をやっている、次から次へと時計を入れている、完全に下見をして、そしてシミュレーションをして、実行犯についてはSNSで募集をかけ、それに申し込んできた、いわゆる闇バイトで集まった人物たちの犯行だなと。あとの逃げ方については事細かに詳細に指示をしていない。いわゆる“捨て駒”のように扱われている、捕まってもどうでもいいと」
「(警察が)緊急配備を敷くと、東京都内の全ての警察官が一斉に出てくる。車を使っての逃走はその時点で無理。車を乗り続けたという部分に関しては、非常に雑だなと」
警視庁は、押収した腕時計や4人のスマホの解析などを進め、容疑が固まり次第、今後、強盗事件についても再逮捕する方針です。
一方で、最後に確保された18歳の高校生に対し、警察官が問い詰める場面がありました。
警察官
「もう1人いるぞ! もう1人!」
「どこいったんだよ!」
高校生
「やめてくださーい!」
警察官
「もう1人どこだって言ってんだよ!」
もう1人、まだ逃走中の人物がいるのでしょうか。強盗事件があった銀座では、“犯行グループは5人組”だったとの目撃情報もあり、警視庁は5人目がいる可能性も含め捜査を進めています。
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有働由美子キャスター
「『この事件の少年たちがなぜ?』という部分はわからないこともたくさんありますけれども、もし今、闇バイトに手を出してしまった、抜けたいけど『誰かにしゃべったら家族を傷つけるぞ』と脅されている、そんな人がいたら、一度やってしまったら抜けられません。すぐに警察相談ダイヤルの『#9110』、あるいは匿名で通報できる『0120-924-839』などを頼ってください。手を染める前に相談する方が絶対にマシです」
【通報先】
警察相談ダイヤル:#9110
匿名通報ダイヤル:0120-924-839(平日10時~17時)
(5月9日放送『news zero』より)