北陸新幹線開業で福井の旅館“予約が2倍” 課題も…関西から客が減る?
北陸新幹線の開業でにぎわいを見せている福井県から藤井貴彦キャスターが伝えます。
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藤井キャスター
「私はきょう、先週16日に県民悲願の北陸新幹線が開通した敦賀駅に来ています。実はこの建物、高さが37メートルありまして、その3階にいます。私の後ろにいる新幹線はこの後、午後6時9分に富山に向かう新幹線で、間もなく出発進行という状況です」
藤井キャスター
「敦賀駅の先は、線路が途中でプツっと切れています。ホームから200メートルほど先で、行き止まりになっているということです。実はこの先、新幹線は新大阪まで開通する予定になっていますが、敦賀駅から先については、まだ延伸計画の詳細なルートや駅の位置が決まっておらず、いつ延びるのか見通しは不透明なんです」
藤井キャスター
「開通したところには喜びや期待を与え続けている新幹線ですが、まだ、未完成な状態の部分もあります。開業に沸く一方で課題も浮き彫りになっています」
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21日、藤井キャスターが訪れたのは…
藤井キャスター
「福井駅の新幹線乗り場からほど近い場所にお店があります。北陸新幹線の開業フェアと書かれています。そして地元の銘菓などがズラリと並ぶコーナーもあります。平日にもかかわらず、多くのお客さんが訪れています」
兵庫県からきた親子に話を聞きました。
観光客
「敦賀から北陸新幹線に乗りたいってことで」
藤井キャスター
「乗ってみてどうでしたか?」
観光客(子ども)
「楽しかったです」
新幹線と一緒に撮った写真を見せてくれました。
藤井キャスター
「また福井に来たいと思いますか?」
観光客
「今度は家族(みんな)で来たいな」
16日、新たに開業した北陸新幹線の「金沢~敦賀」間。「東京~福井」間が乗り換えなしで最短2時間51分と距離もぐっと縮まり、福井県は地域活性化の起爆剤として、100年に1度のチャンスと期待を高めています。
今回の開業で新幹線が新たにとまる駅がある芦原温泉では、観光への期待の声が上がっています。福井・あわら市のホテル「グランディア芳泉」を訪ねると…
藤井キャスター
「こちら見てください。お庭だけかと思ったら、横にお庭をのぞめる露天風呂。お湯もたっぷり入ってますね」
新幹線の開業にあわせ、3年半かけてホテルをリニューアル。部屋やホテル内の料亭に総額8億円以上の費用をかけたといいます。
常務取締役 山口高澄さん
「先祖、先輩方が50年前から準備してきましたので、本当に感動深く、そして新幹線を見たときは、心の中からよしがんばろうっていうのが、胸からわいてきました」
念願の開業から約1週間。
藤井キャスター
「東京からの観光客数は増えましたか?」
常務取締役 山口高澄さん
「おかげさまで通常1割ほどだったんですけど、先行受注が2割強ぐらいになっておりまして、大変ありがたく思っています」
首都圏からの宿泊客の予約は2倍以上に増加。さらにインバウンド客にも期待を寄せているということです。しかし心配な声も…。
藤井キャスター
「関西からの観光客に変化はありましたか?」
常務取締役 山口高澄さん
「一部乗り換えというのは発生します。今後、不便だから減るかもしれないという声はおっしゃっていますので」
大阪と和倉温泉を一本でつないでいた特急列車・サンダーバードが、北陸新幹線の延伸に伴い、走る区間が短縮され、敦賀駅より先は新たに乗り換えが必要となったのです。
常務取締役 山口高澄さん
「我々も現地の情報と、乗り換えでもなにかプラスアルファ、楽しめるような空間づくりでご対応できればと思っています」
ほかにも手放しでは喜べない事情がありました。最終的には南下し、終着駅として新大阪駅をめざしている北陸新幹線。しかし、その計画に懸念の声が上がっているのです。
京都・南丹市の観光スポットでは…
かやぶきの里保存会 中野忠樹副会長
「(工事の)トラックのエンジン音と土ぼこりということになると、全く興ざめの景観しか提供することができなくなることについては、本当にもう」
京都市の老舗の酒蔵でも、酒造りでかかせない地下水への影響に心配な声を上げていました。
伏見酒造組合 増田徳兵衛理事長
「基本的には賛成ですよ。だけど新幹線というのは、地下40メートル以上掘ったところをトンネルで下通るということで、経路によっては水の流れが変わったり、そういったことは一番懸念をいたしますし」
新たに開業した北陸新幹線。残された課題を解決し、今後、完成させることはできるのでしょうか。
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藤井キャスター(福井・敦賀駅)
「今回取材をしまして、延伸したエリアのみなさんは観光客のみならず、地元のみなさんの期待も非常に大きかったです。各エリアに喜びや期待を与え続けています。今回、東海道新幹線のバックアップとしての役割も期待されている北陸新幹線ですが、開業エリアが広がるにつれ、喜びも広がっていると考えていいと思います」
「私の後ろの18時36分発の新幹線・東京行きは21時56分に東京駅に着きます。東京まで1本の道でつながっていて、夢を運び続けます」