コロナ治療薬が“オミクロン株BA.2.75系統の増殖抑制”~東大などの研究グループ
東京大学などの研究グループが、新型コロナウイルス感染症の抗ウイルス薬が、オミクロン株BA.2.75系統の増殖を抑制するとした研究結果を発表しました。
新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株は5つの系統に分類されていて、その内のBA.2系統から派生したBA.2.75系統は現在、日本を含む26か国で検出されていて、世界的流行が懸念されています。
東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授と国立感染症研究所の高下恵美主任研究官らの研究グループは、患者から分離したオミクロン株BA.2.75系統のウイルスを用いて新型コロナウイルスの治療薬の効果を検証しました。
研究グループはまず、4種類の抗体薬、ソトロビマブ、ベブテロビマブ、カシリビマブ・イムデビマブ、チキサゲビマブ・シルガビマブが感染を阻害するか調べました。
その結果、ソトロビマブとカシリビマブ・イムデビマブのBA.2.75系統に対する感染を阻害する機能は、著しく低いことが分かったということです。
それに対し、ベブテロビマブとチキサゲビマブ・シルガビマブは、感染を阻害する機能を維持していることが判明したということです。
次に、3種類の抗ウイルス薬、レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビルの効果を解析したところ、いずれもBA.2.75系統の増殖を効果的に抑制することが分かったということです。
河岡教授らは、「有効性の低下が懸念される抗体治療薬も存在するが、有効性が維持される治療薬もあるので、今後、BA.2.75系統が流行しても治療は可能」だとし、今後、動物モデルでもオミクロン株BA.2.75系統に対する治療薬の効果を検証する予定だということです。