【解説】「地震情報」“自動”ではなく最後は“人の手”で…
▼26日午前8時48分頃、
鹿児島県薩摩(さつま)地方で震度4の揺れを観測する地震が発生。震源地は天草灘、マグニチュード4.5、震源の深さ12キロでした。
▼「緊急地震速報」は最大震度5弱以上の揺れが予想された場合にテレビやスマートフォンなどを通して素早くお知らせすることで、強い揺れがくる前に身の安全を守るために活用されています。地震が発生すると、気象庁の最先端の観測システムが地震の規模と震度を推定して自動的に発表されます。
▼地震発生から約1分半後には「震度速報」が発表されます。震度3以上を観測した場所をお知らせするものです。
▼地震発生から約3分後には「震源」と「マグニチュード」、津波がない場合は「津波の心配はありません」という「震源に関する情報」が発表されます。
▼地震情報をどんな場所で作成して発表しているのでしょうか?気象庁にある「地震火山オペレーションルーム」と呼ばれる部屋です。全国に約1800ある地震計や約4400の震度計からの観測データがこの部屋に送られている。約40人の職員が5つの班に分かれて24時間体制で地震、津波、火山を監視しています。
▼緊急地震速報以外は自動ではない、気象庁の職員が判断して発表するいわば「人の仕事」なんです。自動で出されているわけではありません。
「震度速報」は自動で発表されようとするのですが、その前にその地震が「本当に地震の揺れかどうか」を分析しないといけないそうです。
地震計は車の事故や工事などの生活振動をキャッチしてしまったり近くで雷が落ちると地震計が反応してしまうことがあるといいます。
そのため職員が地震の波形を確認して「人工的な揺れ」とわかった場合は震度速報を出さない、ストップボタンを押します。
震度速報を出すか出さないか判断を下すのは「人の仕事」なんです。
▼「震源に関する情報」は観測システムが自動計算して「震源」の情報が表示されます。その震源について地震の波形データの読み取りが間違っていないかを職員が目視でしっかり確認して大きく間違っていなければそのまま採用されます。
もし、おかしな読み取りがされていたら、観測点の値を削除したり読み取り直したり、再度震源計算を行って、その結果を採用するそうです。同時に、地震の規模を示すマグニチュード、津波がなければ「津波の心配はありません」という情報も出されます。
地震の波形データ、震度の広がりなどを照らし合わせて、人の目で確認をして、問題がなければ発表します。
▼気象庁の担当者によりますと、観測点が少ないところ、たとえば父島近海や南西諸島、千島列島などで発生した地震の震源決定は難しいそうです。震源やマグニチュードの誤差も大きくなりがちだと言います。
▼地震の経験を積むことで"相場感"を身に付けていくそうです。また、過去に実際に起きた地震のデータを使って日頃から訓練をしているそうです。
▼実は大阪管区気象台にもオペレーションルームがあります。
▼通常、地震が東日本エリアで発生した場合は東京、西日本エリアで発生した場合は大阪が地震情報を発表していて、地震が発生した時は、震源位置などに誤りがないか東京と大阪でダブルチェックするのがルールです。
▼2カ所で行うのにはさらに、重要なワケは、バックアップ体制をとっているんです。
万が一、首都直下地震など大きな災害が発生して東京の気象庁が機能できなくなった場合、大阪にある気象台が大切な情報を出し続けるということです。
■「津波情報」の発信は東京と大阪のオペレーションルームで1か月交代で担当
津波がおきた場合は「地震の情報」と「津波の情報」を出す必要があるので、東京の気象庁と大阪の気象台で地震と津波をそれぞれ分担で作業します。
たとえば、今月は東京が地震情報担当で大阪が津波情報担当だった場合、来月は大阪が地震担当といったように普段から1か月交代で担当が決められています。
理由は2つです。ひとつは、津波情報はオペレーションが多く複雑なので習熟するため。もうひとつは、日頃から緊張感を持って対応するためです。