厚労省審議会“残業代ゼロ制度”導入すべき
労働時間と連動させずに成果で年収を決めるいわゆる「残業代ゼロ」制度について、厚生労働省の労働政策審議会が「導入すべき」とする報告書をまとめた。
新しい労働制度は、仕事の成果で年収が決まるため、残業代はつかず、「裁量労働制」で支払われている深夜や休日勤務の割増賃金もない。新制度の対象者は「高度な専門知識」を持つ人で、金融のディーラ-や研究開発職など。年収では「労働者の平均給与額の3倍を相当程度上回る」と定め、1075万円以上が目安。
この新制度を導入する企業には、対象者に「24時間のうちに一定の休息時間を与える」、「1か月または3か月の間で、労働時間を限定する」、「1年間に104日の休日を与える」のいずれかの実施を求める。
厚労省は、この方針に基づいて労働基準法を改正したい考えで、来年4月の導入を目指している。
一方、労働組合側は、新制度が長時間労働を招き、将来、対象が広がる恐れがあると批判している。
また、13日の取りまとめには、新制度とは別に、一般的な社員の健康を守る方策も盛りこまれ、月60時間を超える労働で賃金を50%割増して支払う制度の適用を中小企業にも広げることで、長時間労働の抑制を促すことになった。
しかし、労働組合側が求めていた、残業時間の上限を法律で定めることや、帰宅してから出社するまで必ず数時間空けるとした「インターバル規制」の導入は見送り、長時間労働をいかに減らすかは各企業に委ねる形となった。