小矢部川SAの高速バス事故から1年 富山
北陸自動車道・小矢部川サービスエリアで、運転手と乗客の2人が死亡した高速バス事故から1年。事故は防げなかったのか、責任の所在が明らかにならいまま、節目の日を迎えた。
この事故は去年3月3日、富山県内の北陸自動車道・小矢部川サービスエリアで、宮城県から石川県に向かっていた高速路線バスが大型トラックに次々と衝突し、乗客の金沢市の48歳の男性とバスを運転していた宮城県の37歳の運転手が死亡したほか、乗客ら26人が重軽傷を負ったもの。
事故発生時刻の午前5時10分に、事故を起こしたバス会社・宮城交通の青沼正喜社長ら7人が現場を訪れ、花を手向けた。このうちの1つは、亡くなった乗客の家族から預かったもの。
宮城交通は、ケガをした26人と示談を進めていて、今月2日までにケガが治った12人と示談を終えている。
この事故をめぐっては、警察は去年12月、運転手の男性を自動車運転過失致死傷の疑いで書類送検したが、富山地方検察庁は、容疑者死亡を理由に不起訴処分とした。
警察の調べでは、運転手は事故の直前に意識を失い、心肺停止かそれに近い状態であったとみられている。この運転手は、事故当日まで11日間連続で勤務していた。宮城交通は、東日本大震災以降、被災した鉄道の代わりにバスを運行し、運転手不足が続いていた。
事故後の国土交通省の監査では、運転手の休憩時間など5項目に法令違反が見つかり、去年6月、警告を受けている。しかし警察は、運行管理や健康管理に、事故につながる大きな問題はなかったとして会社の立件を断念している。