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震災4年…旧国民宿舎「いいおか荘」再開へ

2015年3月9日 21:19
震災4年…旧国民宿舎「いいおか荘」再開へ

 2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波被害が千葉県内でもっとも大きかった旭市で、海沿いの国民宿舎の再開作業が先月から始まった。津波被害で4年間休業していた旭市飯岡地区にある旧国民宿舎「食彩の宿いいおか荘」の運営を千葉県内の建設会社が引き継ぐ。

 「いいおか荘」は東日本大震災以降、休業していたが、再開に向けた作業が行われている。津波被害で閉鎖を余儀なくされた「食彩の宿いいおか荘」。被害総額は約2億3000万円、市の単独では改修は難しく、旭市は廃業を検討した。しかし、再開を望む住民の声が多かったことから、運営を引き継ぐ民間業者を公募することになった。昨年末に行われた3回目の公募で運営業者が決定。「15年間無償貸し付け」「改修、修繕費は運営業者が負担」「温泉の大浴場を再開」などが条件だった。

 震災前から「いいおか荘」に関わってきた旭市商工観光課・山本和正さんは「とにかくよかったという思いと、正直、ほっとしています」と話した。

 運営を引き継ぐ民間業者に決まったのは千葉県香取市の「株式会社サンライト建設」。震災後、一部「いいおか荘」の改修に関わった。「いいおか荘」の現状を知っていること、また、眺望をはじめとした飯岡地区のよさを知っているということから、3回目の公募に初めて応募した。宿泊施設の運営は初めてとなるが、これまでの仕事で培ったネットワークを使って旅館業のプロや旭市周辺の仲間の協力を得ながら運営に携わるという。

 株式会社サンライト建設・齋藤博行会長「みんないろいろ、漁港関係とか、地元の農業関係とか、そういう仲間がけっこういるので、それでなんとかみんなで力を合わせれば、ある程度リーズナブルな値段で運営できるかなと」

 オーシャンビューと海の幸などの地元食材、そして「地元密着」を売りに5月連休前には食事の提供、7月には本格オープンを目指す。

 同・齋藤会長「地震からもう4年くらい休んでいる、それがもとのお客さんとか、その辺をどう取り込むかが、これからいろいろ食事関係とかプラスアルファしてどういうものを提供できるか。あっちこっちの仲間とコラボして、できるものを模索中です」

 「いいおか荘」を巡っては、昨年まで宮城の会社が再開に向けて作業していた。しかし、一部を改修した後、会社側から白紙撤回の申し出があり、いったん白紙に。こういったこともあり、「本当に再開できるのか」との不安を持ったり、「お客は増えないのでは」と心配をしたりしている住民がいるのも事実。一方で、「にぎやかになる」「地元のおいしいものでお客を喜ばせればお客は増える」といった期待する声もある。

 前出の旭市商工観光課・山本さんは「(再開にあたり)旭市、千葉北東部に興味を持っていただき、観光客増加につながれば」と話している。

 震災から4年、津波被害や風評被害を払拭し、震災で減少した観光客を取り戻せるのか。市内の復興が進む中、ようやく再開に動き出した「いいおか荘」の復活に期待がかかっている。