戦場のリアルに密着 ウクライナ軍“ドローン部隊” 徹夜の任務で目撃【バンキシャ!】
長引く弾薬不足などで劣勢が続いているウクライナ軍。攻勢を強めるロシア軍の実効支配にある2つの州でも戦闘が激化しています。4月、ジャーナリストの横田徹さんがその最前線を取材。ウクライナ軍にとって攻撃の切り札というドローン部隊に密着しました。【バンキシャ!】
ウクライナ・東部、ドネツク州。ジャーナリスト・横田徹さんが取材を許されたのは、ウクライナ軍、ドローン部隊の指令部。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「軍の基地という印象がないです。ドローンクラブの部室みたいな雰囲気です」
兵士たちの視線の先には、モニターが。戦場を飛ぶドローンからの映像が映し出されていた。
ここではドローンの開発も行われている。
ウクライナ兵
「これが目標まで飛んで、カメラを下に向けて狙いを定めて爆弾を投下します。これは10インチ(約25㎝)で重さ3キロ」
機体の下にあるのは、爆弾を投下するための装置だ。こうしたドローンのほとんどがここで作られているという。
ウクライナ兵
「これは、赤外線を感知するカメラ。夜でも活動できます」
部隊では、操縦者の育成も進めていた。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「今ここでは、ドローン部隊による訓練が行われています」
ドローンとその操縦者が今、(戦場の)前線を支えているという。
ウクライナ兵
「今は弾薬が足りなくてとても厳しい状況です。攻撃用ドローンがあるからロシア軍に対抗できている」
実際のドローン攻撃の映像(ドローン部隊提供)だ。ドローンから2つの爆弾が投下され、激しく燃え上がった。ドローンがかつてない規模で投入されている戦場。
***
夜。部隊の任務に、同行することが許された。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「私はいま最前線へと向かっています。夜の任務ということで私も非常に緊張しています」
“戦場を変えた”ドローン。最前線で目撃したものは…。
ジャーナリストの横田徹さんがウクライナ軍ドローン部隊の任務に同行する。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「きょうは2人の兵士がドローンを使い、ロシア軍の陣地に爆弾を落とすそうです。林の中に車を止めます」
到着したのは、最前線から20㎞ほどの地点。その場で機体を組み立てる。
今回使うのは、飛行機型のドローンだ。このドローンにはある特徴が。触ってみると…。
ウクライナ兵
「とても軽いんです」
機体は発泡スチロール製で、重さは10㎏に満たない。それでも強度に優れていて、およそ80㎞を飛行することが可能だという。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「これが爆弾だ…。爆弾ですね」
ウクライナ兵
「大型ロケットの中に入っている小さな爆弾です。これをドローンで飛ばし、トラックや装甲車両、ロシア兵を攻撃します」
機体に爆弾を搭載した。夜、闇にまぎれて、ロシア軍の拠点を襲う。
このドローンは飛び立つと、操作は不要。事前に設定した標的に爆弾を投下。自動で引き返し、回収される。そして…。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「いま飛んでいきました」
手元のパソコンで、標的に向かっていることを確認した。
40分ほどすると…。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「来た!」
落下地点に向かいドローンを回収。その場でカメラが撮影した映像を確認する。2つの爆弾が投下され、すぐに強い光が…。
ウクライナ兵
「目標を破壊した。大砲です」
この日は3度、爆撃を行い、ロシア軍の大砲やトラックを破壊したという。
***
1年ほど前に発足したこの部隊。隊員たちは、なぜ入隊したのか?
ウクライナ兵(ドローン操縦者)
「自分から志願しました。コンピューターゲームが好きだったので。開戦当初はドローンのことは何も知らなかった」
ゲーム好きから高度な技術を持つエンジニアまで。部隊には適性を持つ人材が広く集められているという。
指揮官は元建築士。戦いが長期化する中、常に前線で部隊を率いてきた。
ドローン部隊 指揮官
「まだウクライナが存在しているということは本当に奇跡です。ウクライナの産業は日本と比べると非常に遅れています。しかし、ウクライナはそれでもドローンを開発して組み立て、有効に使うことに成功したのです」
今後もドローンが“戦いのカギ”を握ると強調した。
***
そして、横田さんは再び最前線へと向かった。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「きょうは非常に危険だということで、兵士たちは緊張した表情をしています」
任務を行うのは、カナダの大学院で博士号を取得したという兵士と、元IT技術者だという兵士。
ウクライナ兵
「装備を着けるために車を止めるよ」
今回の任務はロシア軍により接近するという。塹壕が前線に近づいていることを示す。
ウクライナ兵
「まだ時間がある。日が落ちるのを待とう」
横田さんと兵士は防弾チョッキを着用。
さらに進み、ロシア軍基地まで、わずか5㎞。
時刻は午後7時すぎ…
ジャーナリスト 横田 徹さん
「これがきょう使うドローンです」
農業用ドローンを改造したという機体に、爆弾を取り付ける。林の中に移動し準備を始める。作戦はこの塹壕の中で行われるという。
日が沈むのを待ち、ドローンからの信号を受信するアンテナが立てられた。今回のドローンは自動ではなく兵士が操縦する。
まず爆弾を作る。地雷に強力なプラスチック爆薬を詰め込んでいく。羽を取り付けるのは、垂直に落下させるためだ。
そしてドローンに装着。
横田さんも、兵士と一緒に塹壕の中へ。奥へ進むと部屋があった。大人3人がやっと入れる広さだ。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「ここでドローンを操作しています」
標的は、ロシア軍が宿舎として使っている家など。ひとりがドローンからの映像を確認しながら操縦。もうひとりは、タブレットで地図を見て、飛行経路をナビゲートする。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「ドローンはどんどんターゲットに向かって進んでいます」
ウクライナ兵(操縦士)
「目標はここだ」
ウクライナ兵(ナビゲーター)
「この家で間違いない?」
ウクライナ兵(操縦士)
「ああ」
ウクライナ兵(ナビゲーター)
「了解」
ジャーナリスト 横田 徹さん
「爆弾が落とされました。コントローラーの画面には白煙が上がっています」
爆発を確認できた。しかし、これで自分たちの存在が敵に伝わってしまった。反撃を警戒する必要がある。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「兵士によるとドローンが戻ってきたところを狙って、ロシア軍が位置を特定して、攻撃する時があるそうです」
塹壕の外で次の攻撃の準備をしていた時のこと…。突如、上空からドローンの音が…!
ウクライナ兵
「ライトを消せ、今すぐ!」
(逃げる足音)すぐさま塹壕へ…。
ウクライナ兵
「こっちへ!」
中に駆け込んだ…。
ウクライナ兵
「ウクライナのドローンだ」
ジャーナリスト 横田 徹さん
「私たちの?」
ウクライナ兵
「敵かと思ったがウクライナの攻撃用ドローンだ」
ジャーナリスト 横田 徹さん
「よかった…」
ジャーナリスト 横田 徹さん
「いま、いきなりドローンが現れて…。ロシア軍のドローンかと思ってみんな慌てて逃げたんですけど、味方のウクライナ軍のドローンでした」
攻撃は7回行われ、任務は未明まで続いた。
*5月19日放送『真相報道バンキシャ!』より
ウクライナ・東部、ドネツク州。ジャーナリスト・横田徹さんが取材を許されたのは、ウクライナ軍、ドローン部隊の指令部。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「軍の基地という印象がないです。ドローンクラブの部室みたいな雰囲気です」
兵士たちの視線の先には、モニターが。戦場を飛ぶドローンからの映像が映し出されていた。
ここではドローンの開発も行われている。
ウクライナ兵
「これが目標まで飛んで、カメラを下に向けて狙いを定めて爆弾を投下します。これは10インチ(約25㎝)で重さ3キロ」
機体の下にあるのは、爆弾を投下するための装置だ。こうしたドローンのほとんどがここで作られているという。
ウクライナ兵
「これは、赤外線を感知するカメラ。夜でも活動できます」
部隊では、操縦者の育成も進めていた。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「今ここでは、ドローン部隊による訓練が行われています」
ドローンとその操縦者が今、(戦場の)前線を支えているという。
ウクライナ兵
「今は弾薬が足りなくてとても厳しい状況です。攻撃用ドローンがあるからロシア軍に対抗できている」
実際のドローン攻撃の映像(ドローン部隊提供)だ。ドローンから2つの爆弾が投下され、激しく燃え上がった。ドローンがかつてない規模で投入されている戦場。
***
夜。部隊の任務に、同行することが許された。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「私はいま最前線へと向かっています。夜の任務ということで私も非常に緊張しています」
“戦場を変えた”ドローン。最前線で目撃したものは…。
ジャーナリストの横田徹さんがウクライナ軍ドローン部隊の任務に同行する。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「きょうは2人の兵士がドローンを使い、ロシア軍の陣地に爆弾を落とすそうです。林の中に車を止めます」
到着したのは、最前線から20㎞ほどの地点。その場で機体を組み立てる。
今回使うのは、飛行機型のドローンだ。このドローンにはある特徴が。触ってみると…。
ウクライナ兵
「とても軽いんです」
機体は発泡スチロール製で、重さは10㎏に満たない。それでも強度に優れていて、およそ80㎞を飛行することが可能だという。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「これが爆弾だ…。爆弾ですね」
ウクライナ兵
「大型ロケットの中に入っている小さな爆弾です。これをドローンで飛ばし、トラックや装甲車両、ロシア兵を攻撃します」
機体に爆弾を搭載した。夜、闇にまぎれて、ロシア軍の拠点を襲う。
このドローンは飛び立つと、操作は不要。事前に設定した標的に爆弾を投下。自動で引き返し、回収される。そして…。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「いま飛んでいきました」
手元のパソコンで、標的に向かっていることを確認した。
40分ほどすると…。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「来た!」
落下地点に向かいドローンを回収。その場でカメラが撮影した映像を確認する。2つの爆弾が投下され、すぐに強い光が…。
ウクライナ兵
「目標を破壊した。大砲です」
この日は3度、爆撃を行い、ロシア軍の大砲やトラックを破壊したという。
***
1年ほど前に発足したこの部隊。隊員たちは、なぜ入隊したのか?
ウクライナ兵(ドローン操縦者)
「自分から志願しました。コンピューターゲームが好きだったので。開戦当初はドローンのことは何も知らなかった」
ゲーム好きから高度な技術を持つエンジニアまで。部隊には適性を持つ人材が広く集められているという。
指揮官は元建築士。戦いが長期化する中、常に前線で部隊を率いてきた。
ドローン部隊 指揮官
「まだウクライナが存在しているということは本当に奇跡です。ウクライナの産業は日本と比べると非常に遅れています。しかし、ウクライナはそれでもドローンを開発して組み立て、有効に使うことに成功したのです」
今後もドローンが“戦いのカギ”を握ると強調した。
***
そして、横田さんは再び最前線へと向かった。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「きょうは非常に危険だということで、兵士たちは緊張した表情をしています」
任務を行うのは、カナダの大学院で博士号を取得したという兵士と、元IT技術者だという兵士。
ウクライナ兵
「装備を着けるために車を止めるよ」
今回の任務はロシア軍により接近するという。塹壕が前線に近づいていることを示す。
ウクライナ兵
「まだ時間がある。日が落ちるのを待とう」
横田さんと兵士は防弾チョッキを着用。
さらに進み、ロシア軍基地まで、わずか5㎞。
時刻は午後7時すぎ…
ジャーナリスト 横田 徹さん
「これがきょう使うドローンです」
農業用ドローンを改造したという機体に、爆弾を取り付ける。林の中に移動し準備を始める。作戦はこの塹壕の中で行われるという。
日が沈むのを待ち、ドローンからの信号を受信するアンテナが立てられた。今回のドローンは自動ではなく兵士が操縦する。
まず爆弾を作る。地雷に強力なプラスチック爆薬を詰め込んでいく。羽を取り付けるのは、垂直に落下させるためだ。
そしてドローンに装着。
横田さんも、兵士と一緒に塹壕の中へ。奥へ進むと部屋があった。大人3人がやっと入れる広さだ。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「ここでドローンを操作しています」
標的は、ロシア軍が宿舎として使っている家など。ひとりがドローンからの映像を確認しながら操縦。もうひとりは、タブレットで地図を見て、飛行経路をナビゲートする。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「ドローンはどんどんターゲットに向かって進んでいます」
ウクライナ兵(操縦士)
「目標はここだ」
ウクライナ兵(ナビゲーター)
「この家で間違いない?」
ウクライナ兵(操縦士)
「ああ」
ウクライナ兵(ナビゲーター)
「了解」
ジャーナリスト 横田 徹さん
「爆弾が落とされました。コントローラーの画面には白煙が上がっています」
爆発を確認できた。しかし、これで自分たちの存在が敵に伝わってしまった。反撃を警戒する必要がある。
ジャーナリスト 横田 徹さん
「兵士によるとドローンが戻ってきたところを狙って、ロシア軍が位置を特定して、攻撃する時があるそうです」
塹壕の外で次の攻撃の準備をしていた時のこと…。突如、上空からドローンの音が…!
ウクライナ兵
「ライトを消せ、今すぐ!」
(逃げる足音)すぐさま塹壕へ…。
ウクライナ兵
「こっちへ!」
中に駆け込んだ…。
ウクライナ兵
「ウクライナのドローンだ」
ジャーナリスト 横田 徹さん
「私たちの?」
ウクライナ兵
「敵かと思ったがウクライナの攻撃用ドローンだ」
ジャーナリスト 横田 徹さん
「よかった…」
ジャーナリスト 横田 徹さん
「いま、いきなりドローンが現れて…。ロシア軍のドローンかと思ってみんな慌てて逃げたんですけど、味方のウクライナ軍のドローンでした」
攻撃は7回行われ、任務は未明まで続いた。
*5月19日放送『真相報道バンキシャ!』より