夏に活動活発化“マダニ”に注意 感染症で“死亡”も… 住宅エリアや都内の緑地でも
今年は、マダニによる感染症の報告数が、去年を上回るペースとなっています。住宅エリアや、都内でも緑地などには、マダニが潜んでいるケースがあり、注意が必要です。
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和歌山県海南市の博物館では、“この時期だけ”のちょっと変わった企画展を開催中です。その名も「マダニにご注意!!」。
和歌山県立自然博物館学芸員 佐々木歩さん
「夏の頃はマダニに出会う機会が増えてしまうんです。ご自分で対策してもらえることを促す展示を行っております」
開催は今年で3回目。今回は初めて生きたマダニも展示しています。
和歌山県立自然博物館学芸員 佐々木歩さん
「館内で子供たちが『危険生物だ!』って叫んで楽しんでる様子も見られますね」
マダニは今の季節に活動が活発化します。今年も注意が必要なのです。
家の中のダニとは違い、マダニは主に草むらや、やぶの中に生息しています。かまれるとSFTS・重症熱性血小板減少症候群という感染症を引き起こす可能性があります。症状は発熱や嘔吐、下痢などで、最悪の場合、死に至ることもあるといいます。
国立感染症研究所によりますと、今年のSFTSの感染報告は7月17日までで73例。過去最多だった去年を上回るペースで報告されています。(去年 109例 *速報値)
長崎市では“死亡事例”もでています。市によりますと、7月、発熱や下痢などの症状で入院していた80代の女性が入院から数日後に亡くなりました。女性の体にはダニにかまれたあとがあり、検査の結果、SFTSに感染していたことがわかったということです。
今年初めて“マダニの被害”にあった男性に話を聞きました。
マダニにかまれた男性
「太ももの付け根に刺さっていまして。最初、いぼか何かかと思ったら、よく見たら足が生えていたのでこれはマダニだねと」
男性の足にがっつりと食らいついたマダニ。男性は数日前にハイキングをしていて、その時にかまれたのではないかといいます。痛みなどは特にないというものの、実は取材に答えているこの時も足はマダニにかまれたままでした。
マダニにかまれた男性
「さっさととらなきゃと思って、とれるか試してみたんですけど、割とがっつり食い込んでいて、ちょっと自分の手でとるのは危ないなと」
翌日、病院で切除してもらったということです。
専門家は、マダニの生息域が市街地にまで迫っている可能性を指摘します。
国立環境研究所 五箇公一室長
「住宅エリアや都内でも緑地といわれる所には、マダニが潜んでいるケースが増えてきている。身近な所にいておかしくないダニになっていると意識していただいて」
草むらに近づく時には足首や腕など、肌が露出されている部分に虫除けを徹底。家に帰ったら体にマダニがついていないか、すぐに確認することが大切だということです。