マンション災害…そのとき“避難”できますか? 東京消防庁が直伝「壁の破り方」…3つのポイントは
都心で急増するマンション。火災や地震などに備え、「避難器具」が取り付けられていますが、実際に使ったことがあるという人は少ないはずです。いざという時にどのように使うのか、取材しました。
東京・中央区のマンションで先月、東京消防庁などの協力のもとで防災イベントが行われました。そこでは、住民たちが「白いボード」を蹴っていました。
ボードの正体はベランダを仕切る「隔て板」です。火災や地震で避難が必要な場合、この板を破って隣に移動しますが、実際に破ったことがある人は少ないはず。そこで、記者が試しに蹴ってみると、意外と固く、割れませんでした。
東京消防庁・臨港消防署に、頑丈な隔て板の「破り方のポイント」を教えてもらいました。
東京消防庁
「通常ベランダでは靴ではないので、つま先で蹴ってしまうと痛めてしまいます」
<ポイント1>壁にかかとがあたる位置で軸足をおくこと
<ポイント2>手すりや壁に手をつき体を安定させること
<ポイント3>思い切って『かかと』で中心を蹴ること
真ん中が一番強度がないので、その位置を狙うことも大切だといいます。改めて記者がやってみると、今度は一度で破ることができ、壁の向かい側に移動することができました。(※蹴ることができない場合は物干しさおなどを使うのも有効)
また、隔て板と同様に使うことが少ないのが、「避難はしご」です。
間違って開けるのを防ぐためフタにはロックがかかっていて、ボタンを押すと、はしごが自動で出てきました。記者がはしごで降りてみると、安定感はあるものの、少し“怖さ”も…。
玄関からの避難が難しい場合、こうした避難器具を使って、いち早く部屋の外へ逃げることが大切です。
都心で急増するマンション。そんな中、最近よくみられるのが「内廊下」のマンションです。こうした場所で火災が発生し煙が充満するとどんな状況になるのか。
煙を再現して歩いてみると、目の前が真っ白になってほとんど見えなくなりました。記者は壁伝いに進みますが、前が見えず、何かにぶつかる場面も…。消防によると、煙は上へあがって天井に溜まる特性があるため、姿勢を低くすることが重要だといいます。低い位置では煙が薄く、視界が開けました。
臨港消防署 予防課・平林史大さん
「気密性が高くて煙りがなかなか抜けない廊下もたくさんあるので、煙を吸わない、姿勢を低くしてけがのないよう走らないで慌てないで避難をしてください」
災害時に慌てないように、防災訓練などでこうした避難器具を使えるよう確認しておくことが大切です。