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【解説】“感染力強い”新たなタイプのオミクロン株「BA.2」…特徴は?

2022年1月28日 18:51
【解説】“感染力強い”新たなタイプのオミクロン株「BA.2」…特徴は?

連日、新型コロナウイルスの感染者数が過去最多を更新していますが、ここに来て、さらに感染力が強い可能性のある新たなタイプのオミクロン株が国内でも確認され始めました。どのような特徴があるのか、詳しくみていきます。

■東京都が自宅療養者に新たな方針

27日は全国で新たに7万8000人以上の感染者が確認され、2日連続で過去最多を更新しました。27都道府県で過去最多となりました。

そして、28日は新たに大阪で1万人前後、兵庫も4342人と過去最多の感染者数となりました。

東京では、連日1万人を超える感染者が確認され、同時に自宅療養者の数が急増しています。今月1日には85人だった都内の自宅療養者数は、27日に初めて5万人を超え過去最多となりました。東京都は今後2万人を超える感染者が10日間続けば、自宅療養者は19万3000人に上ると想定しています。

こうした事態に対応するため、東京都は自宅療養者に対する新たな方針を打ち出しました。

新たな方針として、まず感染者全員が医療機関を受診します。その上で、入院などの必要がないと判断された50歳未満で、基礎疾患がない人は、自宅待機をしながら「自ら健康観察を行う」ということです。

これまで保健所などが健康観察してきたので、その分、保健所などの負担が軽くなることになります。もし体調が悪化した時には、31日に新設される「うちサポ東京」というサポートセンターに連絡する仕組みとなっています。「うちサポ東京」では、24時間電話を受け付けていまして、最大300回線を整える予定です。

それ以外の50歳以上の人や重症化リスクのある人は、保健所や別のフォローアップセンターで健康観察をしていきます。

■新たなタイプのオミクロン株「BA.2」

こうした中、新たなタイプのオミクロン株による感染が確認され始め、専門家も警戒感を強めています。

国立感染症研究所・脇田隆字所長
「海外の一部地域でBA.2系統による感染が拡大しています。BA.2系統も検疫であったり、あるいは国内で検出されています。今後も、一定数のゲノム解析によるモニタリングを継続する必要があると考えています」

「BA.2」とは何か。ウイルスというのは、生き延びるためにどんどん変異を続けていきます。最初に確認されたいわゆる“従来株”から、アルファ株やデルタ株、オミクロン株などへと感染の主流が置き換わってきました。

ただ、今回の「BA.2」は新たな変異株が出てきたのではなくて、同じオミクロン株の中でも違う系統が確認され始めたということです。

変異株は細かい変異の違いでさらに細かく分類されています。オミクロン株の場合は、「BA.1」、「BA.2」、「BA.3」などといくつかの系統に分かれています。

オミクロン株の主流は「BA.1」ですが、最近「BA.2」が増えてきています。日本では検疫で313件確認されていて、インドやフィリピンからの入国者が多いということです。また、国内でも27件確認されています。

海外ではすでに広がっていて、これまでにイギリスやデンマーク、インドなど40か国以上で確認されています。

ヨーロッパの中でも「BA.2」が多く確認されているデンマークの新規感染者の推移をみてみると、去年の終わり頃からオミクロン株により急速に感染が拡大しました。今年に入って、横ばいとなってピークアウトするかと思いきや、再び急拡大しています。実は再び急拡大するタイミングで「BA.1」から「BA.2」への置き換わりが始まったとみられています。最新のデータでは、すでにデンマークの新規感染者数に占める「BA.2」の割合は65%に達しているとされています。

■「BA.2」の特徴は?

「BA.2」にはどんな特徴があるのでしょうか。まだ情報は少ないですが、少しずつ分かってきたことがあります。

デンマーク政府の研究機関が行った初期の分析によると、「BA.2」は「BA.1」と比べ感染力が1.5倍に高まっていて、ワクチンを接種していない人だけでなく、接種済みであっても感染のリスクが高まっている可能性があるということです。

また、日本の厚労省の専門家会議でもデンマークのデータをもとにした分析結果が示されました。1人が何人に感染を広げるかを示す実効再生産数が、「BA.2」は「BA.1」と比べ18%高いです。つまり、それだけ感染力が強くなっている可能性があるということです。

ただし、デンマークでもこれまでの所、入院に至る確率は「BA.2」と「BA.1」で大きな差はみられていないといいます。デンマークの専門家も、「現時点でそれほど懸念する必要はないが、BA.2の感染力が強いことで、感染のピークが当初の予想よりずれ込んで、2月まで感染拡大が続く可能性がある」と指摘しています。

日本でもオミクロン株は流行のピークが早く終わるともいわれていますが、京都大学大学院医学研究科の西浦博教授は「過剰に期待すると、BA.2への置き換わりで、もくろみが崩れてしまう可能性が十分にある」と警鐘を鳴らしています。

ウイルスがどれだけ変異したとしても、私たちが続けるべき基本的な感染対策は変わりません。過度に恐れることなく、ワクチンや治療薬を適切に使いながらやるべきことをしっかり続けていく姿勢が大切です。

(1月28日午後4時30分ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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