赤・黄…色の違いはナゼ? 紅葉のヒミツ
キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。27日は、「紅葉のヒミツ」をテーマに日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。
■紅葉のヒミツ(1)
朝晩は冷え込むようになり、青森県の八甲田山は今月中旬、赤や黄色で色鮮やかに染まった。皆さんよくご存じの通り、紅葉の見頃というのは、秋の気温が低いと早まり、気温が高いと遅くなるが、こうした紅葉時期を長い目で見てみると、実は、大きく変化してきている。
気象庁はカエデが紅葉した日の観測を続けているが、およそ60年前から計算すると、10年間で2.9日のペースで紅葉が遅くなってきているそうだ。これは長期的に気温が高くなっている影響だと見られている。
また、温暖化の原因となる温室効果ガスの排出が今のペースで増え続ければ、35年後の2050年には、京都ではクリスマスに紅葉シーズンを迎えるようになるかもしれないという見方も出てきている。
■紅葉のヒミツ(2)
続いてのヒミツは「紅葉のメカニズム」だ。モミジは赤色、イチョウは黄色など、種類によって何色に変わるかということはおおよそ決まっているが、こうした色はどのようにして決まるのか。
葉っぱにはもともと緑の色素と黄色の色素が含まれている。これが秋になり気温が下がると、この緑色の色素が分解されて少なくなり、黄色の色素が残るため、イチョウなどは黄色くなる。
モミジなど赤く紅葉する種類は、秋になると、葉っぱと茎の間の栄養が行ったり来たりしないよう、葉っぱの付け根が遮断されるのだ。そうすると、葉の中に光合成でできた糖分がたまり、この糖分が引き金となってアントシアンという赤い色素が増え、葉っぱが赤く色づくというわけだ。
■自宅でできる紅葉実験
緑の葉っぱが、糖分で赤く色づく様子を見る実験がある。東京農工大学の百瀬先生から教わった自宅でもできる実験だ。用意するのは、水草のオオカナダモ。これは熱帯魚ショップでも売られているもの。そして水500ミリリットルと砂糖を17グラム。
まず、水に砂糖を入れて砂糖水を作る。その砂糖水を容器に入れて、オオカナダモの葉をちぎり、砂糖水の中に漬けて、蛍光灯の下に置いておく。毎日砂糖水を交換するなど、実験には若干のコツが必要だ。
実験の様子を撮影した映像では、葉っぱの細胞の中の緑の色素が次第に少なくなり、砂糖水の糖分が葉の中にたまり、一週間ほどで赤い色素が増えていくのが分かる。
■きょうのポイント
きょうのポイントは「ナゼ?を考える」。葉っぱが赤や黄色に色づく仕組みを見てきたが、じゃあ何のために色をかえるのかなど、実は分かっていないことは多い。きれいな紅葉を眺めるだけでなく、自然現象の変化やナゼ?を考えて、自然の仕組みに興味を持つのも楽しいかもしれない。