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通知カード“不適切配達”その驚くべき理由

2015年11月6日 19:30
通知カード“不適切配達”その驚くべき理由

 先月からマイナンバーの通知カードの配達が始まった。本来なら対面で手渡すことが義務付けられているが、なぜか郵便受けに入れられる事態が起きた。

 先月23日からマイナンバーの通知カードの発送が始まっていた石川県珠洲市の郵便局の男性配達員が、配達先21軒が留守だったため受け取り欄にウソのサインを書き、届けていたことがわかった。その理由は驚くべきものだった。

 「弊社、珠洲郵便局におきまして、マイナンバー郵便物の不適切な配達をする事案を発生させてしまいました。誠に申し訳ございませんでした」-6日午後、マイナンバー通知カードの「不適切な配達」があったとして、日本郵便北陸支社が謝罪会見を開いた。

 問題を起こしたのは、珠洲市の珠洲郵便局で今年4月から働いている10代の男性配達員で、5日は通知カード80通の配達を担当、55通の配達を終えて郵便局に戻ったという。

 しかし、その後、複数の市民から郵便局に問い合わせが入った。

 問い合わせをした市民「ポストを見たらそのまま入れてある。おかしいと思って。普通ならはんこ(押したり)とか、赤い紙(不在連絡票)入れていくのに、こんなとこ、すっと入ってるわと思って」

 簡易書留で送られているはずの通知カードが、郵便受けに届いていたという。

 簡易書留は日本郵便が行っている郵便サービスの一つで、受け取るには配達員が持っている配達証にサインをするか判を押す必要がある。

 留守の場合は、配達員が不在連絡票を郵便受けに入れ、それを確認した受取人は再配達を依頼するか、郵便局に受け取りに行くことになる。留守にもかかわらず、配達員が簡易書留を郵便受けに入れることはない。

 なぜ通知カードが郵便受けに届いたのだろうか。男性配達員は配達に訪れた際、住人が留守だということを確認すると、宛名を見て自分で配達証に住人のサインを記入。その後、不在連絡票ではなく通知カードの入った封筒を郵便受けに入れ、配達が完了したことにしていたという。

 結局、男性配達員は5日に配り終えたとした55通のうち、21通についてサインを偽装したことを認めた。

 男性配達員が偽装をした理由について、日本郵便北陸支社は会見で、「原因ですが“早く配達を終えたいため、受取人様の受領印等を省略した”と。(配達を)早く終われば、早く勤務を終了する形です」と話した。

 また、通知カードは対面で確実に届けなければならないが、対面できないこともあり、男性配達員は「少し焦りがあった」などと話しているという。

 この問題を受け、マイナンバーを所管する総務省の高市大臣は「許しがたい事例だし、マイナンバー制度そのものに対して不安を惹起(じゃっき)させかねない」と述べた。

 通知カードを発送した珠洲市は、希望者に対して再交付の手続きを取るという。