“慰安婦”本で在宅起訴 日本の識者ら抗議
いわゆる「従軍慰安婦」について、韓国人の研究者が書いた本が元慰安婦の名誉を傷つけたとして、この研究者が韓国で在宅起訴されたことに対し、日本の有識者らが26日、言論や学問の自由を奪う行為だと抗議する声明を発表した。
韓国・世宗大学の朴裕河教授は、慰安婦問題を日韓双方の視点を取り入れて研究しているが、著書の中で慰安婦について、「日本軍の兵士と同志的な関係だった」などと表現したことについて、韓国の検察当局が19日、著書の内容には「虚偽」があり、元慰安婦の名誉を傷つけたとして在宅起訴した。
これ受けて、日本の有識者らは26日、東京都内で抗議声明を発表した。「検察という公権力が特定の歴史観をもとに、学問や言論の自由を封圧する」もので、民主主義の基本が侵されつつある、と強く非難している。
検察当局は、内容を「虚偽」と断定する根拠のひとつに、慰安婦問題について、政府としておわびと反省を示した当時の河野官房長官の談話を挙げたが、河野氏は、「自分の談話の意図が曲解されて起訴されることに憂慮している」ということで、抗議声明にも名を連ねている。
韓国では、産経新聞の元ソウル支局長も朴槿恵大統領についての記事で起訴されていて、言論の内容を刑事罰に問おうとする動きの是非について、議論が高まる可能性がある。